◎デジモン長編◎
□V話
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ユイ「私に……パートナー?」
サンゾ「そうです。あなたがDーラインを持ったのは、このDW(デジタルワールド)を救うのに不可欠な存在だからなのです。」
まさか時がこんなに早く来るなんて思わなかった、まだ心の準備は整っていないまま予言の時を迎えるなんて、甘かった。覚悟なんてできていなかった。
不完全。
そんな私に、ゴクウモンというパートナーデジモンができたことは自分の中でどう、反応したらいいのかリアクションに困るものだった。
ここは素直に喜ぶべきか、それとも素直に戸惑うべきか、感情が複雑に入り混じり答えを見いだせない自分がいる。
そんな今の状態に加え、周りの圧力というのか、緊迫とした空気がユイにはすごいプレッシャーに感じていた。。
「今はまだゆっくり考えたい」、それが本心であるのだから。
だが、気づけば日が沈み夜になっていた。
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一行の仲間になって初めての夜は、浅い谷底にあった小さな洞穴の中だった。
外から中の空洞までの距離が3mあり、入口はゴクウモンがかがめばギリギリやっと入れるくらい高さも幅も狭く、中に入ったとしても道もまた狭く足場も悪い。
だが、敵には見つかりにくいというメリットがあった。
ぱっと見目立たないこの場所は敵の目に留まることは極めて低く、例え見つけたとしてもだいたいの強いデジモンは、体の大きさ的にまず入ることは不可能である。
そして地形。
ここの地盤はとても固く、並みのデジモンの攻撃では傷一つつかないだろう。
それほど、ここは頑丈で特別な地形であると分かった。
中に入るまでは一苦労だが地形的に安全なこの場所で、一行は一晩を過ごすことにしたのだった。
ゴクウ「んん…う…イテッ。くそっ、やっと入れた。」
ゴクウモンを最後に洞穴に入った一行。
中はなんとか全員が寝れるぐらいのスペースはあるが、地面のでこぼこが目立ちどう見ても寝られそうな場所ではなかった。
だが寝床はここしかない。工夫して体を休めなければいけないのだ。
夜の見張りにはサンゾモンとゴクウモンは何時間かに一回は外に出る。その時はきっと狭苦しい空間から解放されるのだろう。
その代わり、出るのも入るのも大変だ。
食料調達にも行かなければならないので、どっちにしろ出入りには誰もが苦労を虐げられるのだ。
サンゾ「それでは早速、ゴクウモン、私(わたくし)と共に食料を探しに行きましょう。」
ゴクウ「はっ!?やっと入れたのにまたそこ通るのかよ。」
サンゾ「セイヤさんとユイさんをむやみに暗いところを歩かせるのは危険ですのでね。」
入ってすぐに食料調達のため、サンゾモンがゴクウモンを一緒に行く相手を指名する。
せっかく入れたのによ、とゴクウモンは文句を言うが、晩飯は食いたいと結局サンゾモンと共に食料を探しに行くことをしぶしぶ承諾した。
セイヤ「気をつけて行ってきてください2人共。」
ゴクウ「おう。」
サンゾ「ユイさんも、すぐ戻って来ますので。」
ユイ「あっ、いってらっしゃい。……ゴクウモンも。」
ゴクウ「…ああ、すぐ戻って来るからな。」
ぎこちない雰囲気の2人を心配そうに見つめるセイヤとサンゾモン。
2人の異変はあの時からおかしかった。
―――そう、2人の様子がはぐれる前と少し違うことに気づいた。
お互いどこか壁を作っているのか、話し方に溝を感じた。
ゴクウモンに関してはほとんど喋らなかったし、表情も機嫌が悪いように見えた。
一体、スコピオモンとの戦いで何が起きたのか、それは2人にしか分からない。
サンゾ「では、行ってきます。」
そんな空気をもろともせずサンゾモンは2人に手を振る。
そのままサンゾモンとゴクウモンは、狭い道をくぐり抜け、外へと食料を調達しに出かけていった。
セイヤ「では、2人が戻って来る間に晩ご飯の準備をしましょう。」
洞穴に残ったセイヤとユイ。
出て行った後、それぞれ仕事を分担し準備に備える。
「どうするの?」、そんなユイの役割をセイヤが手伝いながら、意外と準備は早く整い、2人はお互いのパートナーの帰りを待っていた。