薄桜鬼
□夜空
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私はその夜外に出た。眠れなかったから
今日は満月で、青白く光りを放つ満月が最初に総司と出会った夜を思わせる。
私は不意に自分の足を見ながら昔のことを思い出す。
――今日の夜空は綺麗だな――――
私の横には愛しい彼の姿。私たちは縁側に腰かけていた。満天の夜空に散りばめられた星たち。その真中に青白い光を放つ月。
――私たちはこの空の星たちのどれだろう――――
――そうだなー。藍星じゃなくてこの夜空で私は月かな?――――
――なんで?――――
――なんだろ、藍の中にずっと私がいてほしいからかな―――
――え/////――――
――そしたら、私が死んでも藍の中で私は生き続けられる。藍を愛することができるだろ?――――
あの日、顔が紅くなってあたふたして自分の部屋にさっさと帰ったことを今でも鮮明に覚えてる。
『大丈夫……ちゃんと蘭丸は私の中で生き続けているよ』
切ない表情で呟く私。
「なにを見ているの?」
ふと、彼の声が聞こえる。うつむかせていた顔を上げれば、そこには彼の面影に似ている彼。
『総司………月を……見ていたんだ』
「ふ〜ん」と言いながら彼は私の隣に座る。やはり彼と物凄く似ていて。
まるでそれはあの日の夜に戻ったみたいだった。
自然と溢れだす愛しさに涙、一筋流しながら総司に体を預ける。
「どうし……」
『少しだけ……少しだけこのままでいさせて……』
総司は何も言わないで私を受け止める。
密着しあった体はお互いの熱を感じさせる。
どくんどくんと脈を打つ音が五月蠅くて、抑えたいけど抑えきれないほどにでっかくなっていく。
神様――――
どうかいるのでしたら――――
僕から―――――
私から―――――
藍を――――
総司を―――――
もう、二度と奪わないでください―――――
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