薄桜鬼
□夜空
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翌朝――――
朝食の時間、私は広間へ足を運ばせた。
そこには山南さんを除けば皆が集まっていた。
「おはよう、藍ちゃん」
私の隣で笑って食べる総司の姿は昨夜のことが無かったかのようにいつも通りだった。
いや、たぶん私を気遣ってくれてるんだと思う。
『(しかし……いくら思い出にふてっていて彼の姿に似ていたとしても取り乱しすぎてしまった……////)』
私は昨夜のことを改めて思い、一気に羞恥心が湧き上がる。
「おせえぞ、藍。藍が遅えから待てずに食っちまってるよ。皆」
平助が「こんどからは気をつけろよな」と言うと白ご飯にかぶりついた。
『ああ、今度からは気をつける』
私は少し笑いながら味噌汁をすする。
「総長」
その声に皆が戸へ視線を向ける。そこには食事を抱えた山南さんがいた。
山南さんは自分の席へ座ると「いただきます」と言って握り飯を食べ始めた。
『山南さん……』
「食事は大勢でしたほうがいいそうですから」
その言葉に自然と皆の顔に笑みがこぼれる。
「ああ、もちろんだとも!」