薄桜鬼

□覚悟
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油小路の変から一月後、薩長両藩は本格的に軍備を整え
京へ軍隊を終結させていた。そして新選組もまた、それに対抗する為に伏見奉行所に入り、戦闘に備えることになった。





慶応三年十二月十日


この日は雪がしんしんと舞い落ち、外を覗けば近所の子供がはしゃいでいた。



「ゴホッ、ゴホゴホッ」



布団で咳をすれば、思いだしたかのように袖から薫に授かった
何かに取りつかれているような赤い液体の入った瓶は少なからずや光っていた。




「そんな体で何が守れる?」




去りゆく間際神楽が呟いた言葉が、痛く頭の中で復唱している。

すると、何やらこちらへ近づく足音が聞こえ慌てて袖の中にソレをなおす。




『開けるぞ』



藍ちゃんの声が聞こえ、襖を開けるとそこには意外な人物が入ってきた。



「具合はどうだ?総司。…って、おいおい寝てなきゃ風邪ひくぞ。
ほら、体が冷えてるじゃないか」



そう言って近づくと、自分が着ていた羽織を脱ぎ、総司に着せた。




「大丈夫ですよ」

「いやー、いかん。ほら冷えは万病の元だぞ」



そんなやり取りを隅で見ていれば、そんな様子が親子のように見えた。


「ああ、そうだ藍くん」

『はい?』

「すまんが、熱いお茶を一杯頼めるかな」

『わかりました』



私はまだ、口元を緩めお茶を注ぎに行った。





でも、この時少しだけ嫌な予感が心の中でざわざわと感じた。

それはまるで新選組に大きな悲劇をもたらすかのように







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