マギ
□黒い魔法使い
1ページ/8ページ
『(あそこが…煌帝国の城…)』
私は高い木の頂上で、煌帝国の城を眺めていた。
全く自分とは縁がない場所。
そこで暮らす人たちはどのように過ごしているのだろうか。
湧いてきてもしょうがない疑問だけが頭に残る。
私の名はエリシア。
いつか、森に捨てられていた少女である。
今はこの森にも随分と慣れ、不便に感じたことは何一つもない。
でも、私は他の人とどこか違う。
怒ったり、泣いたりすると必ず私の周りで不思議なことが起きる。
そんなことがあったから私は捨てられたんだけど……
『(気になったってしょうがない。あそこはお姫様や王子様。
身分の高い人がいる場所なんだから)』
私は眺めるのをやめて、いつもの指定位置で熟した果物を食べようと思い
木の枝を身軽なステップで次から次へ移動した。
『(よし…もう着く……ぞ?)』
茂みを抜けて、そこにある指定位置の枝にはもう先着名がいた。
私と同じ瞳の色をした少年。
「あ……?」
『っ!(やばい!ぶつかる!!)』
私の予想は的中し、互いのおでこをぶつけて下へ二人は落下した。
・