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□不覚にもときめいた
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このような気持ちなど、私が抱いて許されるのでしょうか。不釣り合いでしかない淡い感情。こんなにも、こんなにも、苦しいだなんて。
嗚呼、誰か…この気持ちの正体を。



「…はい、終わりです。少しは自分の身体を大切にしてくださいね。」

「ふふ、どうしてもあの高揚感を制御することは中々の難題ですね…」

「光秀さまを心配するのは私だけではないのですよ。」


戦の後と言えば決まってこのような会話。戦いの最中、痛みさえも気持ちの昂りの材料になってしまう為に帰ってきた頃には自分でも気付かないところを負傷していることも多々。
そんな私をいつも心配して、今日も医務室で懸命に手当てをしてくださるこの軍医の女性が最近の悩みの種であることは間違いない。


「それに、大きな怪我を負ったあと私に隠れて鎌を手にしていることもおありでしたね。」

「何も少し持ち上げてみただけですよ。あの程度で傷口が開くとは思いませんでしたので。」

「少しとおっしゃっても、光秀さまの鎌は普通の方が軽々と持てる重さではないのです。本当に、これ以上無理をなさると判断した際には見張りをさせますからね。」

「おお、怖い怖い…未都を怒らせぬよう、極力気を付けましょう。」


こうやって心配され、世話を焼かれることを楽しい、嬉しいと思ってしまう自分が居る。厳しい目付きで此方を見てくる彼女の表情でさえも、その感情の材料となってしまっている。
…いつから私は、こんな気持ちを抱いてしまったのか。
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