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□1.スキンシップじゃなくてセクハラです
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「…この車、明智先生のだったんですね。」


ダークな紫色の外車。これが左ハンドルってやつか…初めて乗るかも。
他の先生の車よりも一際目立つこの車はよく目に入っていたけど、明智先生のだったんだ…

少し驚いて車を眺めていると明智先生が助手席のドアを開けてくれた。

なんだかんだ明智先生って気が利くというか、レディーファーストな一面があるから時々あの変態さなんて感じられなくなる。
お礼を言って助手席に乗ると明智先生も運転席に乗り込み、車が発進された。


「明智先生って…変ですよね。」

「ククク…未都もそう思いますか。よく言われますよ。」

「いや、なんか…時々すごく優しいし。友達はみんな先生のこと恐れてますけど。」

「私とて、誰にでも優しくするわけではありませんからね。」


…ん?

なんだろう今の返し。


「毎度毎度のセクハラもなんで私にするのかわからないし。」

「セクハラと言うより、私の可愛いスキンシップじゃないですか。未都以外にする意味もないですし。」

「スキンシップにしては激しい…って、え?」


さっきから明智先生の言葉に何か引っ掛かる。
どうしたんだこの人。
ふと、信号で車が止まると明智先生がこちらを向いて私に右手を伸ばして来た。


「未都は…どこまでも、気付かないのですね?」


そう言いながら伸ばして来た手で髪をそっと撫でる。
優しく、その感触を確かめるかのように。
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