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□不覚にもときめいた
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「そういえば、光秀さま…最近何か良いことでもおありでしたか?」

「良いこと、ですか…何故そう思うのです?」

「最近皆さんが口を揃えておっしゃってますよ。光秀さまが丸くなったとか…優しくなったとか。」

「ふふ…クククッ、そうですか…その様に見られていたとは…」


部下達が口を揃えて?そこまで私は変わってしまったのかと改めて実感する。思わず笑ってしまった私の様子を見て、彼女は不思議そうに小首を傾げる。

そうですね、気付くことはないでしょう。不思議と貴女には、初めて言葉を交わした時から優しく優しく接していました。軍医であれど部下にあたる女性に、自分から話し掛けたり気に掛けたりなど今までの私からは想像もつかないことでしたが。


「何年も光秀さまにお仕えしているわけではないので、まだ知らないことも多いのですが…初めてお会いになった時から、光秀さまはお優しい方だったと私は思いましたよ。」

「…おや、私の第一印象が良いなどと言うのは未都くらいですよ。」

「光秀さまに良くして頂いたお陰で、緊張や不安がなくなりました。…なんだか、こんなこと話すのはお恥ずかしいですが…」


本当にどうもありがとうございます、と彼女は笑顔で私に言った。

同時に私の鼓動が大きく高鳴ったことがわかり、そしてやはり胸が苦しくなる。彼女の瞳から目を逸らしたくない、その輝く笑顔を見つめていたいとさえも思った。

この私が油断してしまうとは…これを不覚、とでも言うのでしょうか。


「いえ、礼には及びません。私がしたくて勝手にしていることですから。」

「そんな、私には勿体無い程のお心遣いをいつも頂いていますので…」

「…未都は、お上手ですね。」

「え?上手…何がでしょう?」


今は解らずとも、良いですよ。私にも未だ今の自分を理解しきれていないのですから…
貴女に不意を突かれるのは悪くありません。その笑顔を何度でも見せてください。
出来ることならば、私だけに…


「未都、近々私の話を聞いてくださいますか。」

「はい、私でよろしければどんなお話でもお聞きします。」

「…貴女でなくては、いけないのですよ。」


未都は私の話を聞いてどんな顔をするでしょうか。貴女と居ると胸が苦しくなる、笑顔が眩しく見える、幾度でも言葉を交わしたくなる…言い出せばきりがないことばかりなのですが。

人間にも成りきれていない私を、#1#は受け止めてくださいますか…?






――――

君に恋する3秒前
こちらの企画に提出させて頂いた作品でした。

企画のテーマが初恋、ということでしたので初恋感を全面に出したのですが果たして表現しきれていたのか…
思い悩む光秀さんが書きたくてやらかしてしまいました。

ちなみにお題元は私もお世話になっているこちらのサイト様です。

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