theme

□1.本気じゃないと知っていた
2ページ/2ページ

「僕はね、幸せだよ?こうして未都ちゃんと二人きりで居れることが。」

「…ふふ、お上手ですね。相変わらず。」


後ろから包み込むようにぎゅうっと抱きしめてくる。白澤さまに抱きしめられることには慣れているけれど、最近はこの温かさが好きだ。同時に複雑な思いが交差してしまうのは変わらないが。


「…白澤さま、今日もお仕事が終わったらお邪魔しても良いですか?」

「未都ちゃんからのお誘いなんて珍しいねぇ。勿論だよ、部屋で晩酌なんてどう?」

「良いですね、楽しみにしています。」


どうせ晩酌だけで終わらないでしょう、と口は出さずに考えていた。少しでも一緒に居たくて堪らない気持ちは、絶対に彼より私の方が勝っている。
最初から知ってますよ、本気じゃないことくらい。私は沢山の女の子の中の一人にしか過ぎないのだから。

一時の幸せと大きな虚しさばかりのこの関係は、私にとっての心の拠り所。




2014/05/31


Thanks
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ