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□チョコチョコチョコレート
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「バレンタインだーー!!」
「「「「「「おおーーー!!!!!」」」」」
決起した男達の右手にはそれぞれチョコパイが乗せられていた。
「チョォコレーーィトォォ!!!」
バフッツ!
「チョッコレェェイトォ!!!」
バフッツ!
ネロの日々の努力により清潔に掃除されていた事務所は一気に茶色に染まり、一瞬にして甘い香りに包まれた。
「へいへい、ネロちゃんよぉ、お前だけキリエちゃんからチョコ貰ったんだってな。このリア充野郎がぁ!!」
バフッツ!
「は!?何言ってんだ!お前だって近所の店でさり気なくチョコねだってたじゃねぇか!」
バフッツ!
そんな事を言い合っていた二人の体はすでにチョコだらけ。
今日はバレンタイン、何故いつもクールな事務所の者達がこんなにも冷静さを欠き、チョコパイ投げをしているのか。
それはチョコを貰えない男達の悲しみのレクイエムだった。
「「「「「「チョォォコレーーイトッ!!!」」」」」」
一つの合言葉、チョコレート。その言葉によりチョコパイを投げる。
至ってシンプルなそのストレス解消法はいつも固いネロやバージルさえも説き伏せ、巻き込むという恐ろしきダンテ達のなせる技だった。
「おらっ!こっちもチョコレートだ!」
ヒュッツ!べちょ
「残念。オッサンからの愛は受付けねぇぜ。」
「初代!鍋でガードすんのは反則だろ!」
「誰がそんなルール決めた?俺の…」
べちょ
得意げになっていた初代の顔に2代目がそっと背後からチョコパイを顔面に押し付けた。
「……2代目…」
「……(フッ)」
「あ!今あんた鼻で笑ったな!?今日は無礼講だから容赦はしねぇぞ!髭!手伝え!」
「おうよ!」
初代と髭がチームを組み、チョコパイを持ってじりじりと2代目を壁に追い詰める。
「ふっふふ…さすがのアンタも俺ら相手じゃ……」
ストッ、べちゃり
その時髭、初代の前にバージルが降りてきてそっと二人の顔にチョコパイを押し付けた。
「残念だったな。チームを組んでいるのは貴様らだけではない。」
「!?バージルッ!てめっ姿見えねぇと思ったらずっと天井にいたのか!」
「ふははは!貴様らなんぞにこの俺が負けるか!」
「あ、こら待て!」
またも天井に隠れようとバージルが飛んだ瞬間、彼に何かが当たり青い影は撃墜された。
「へへっ、敵はそいつらだけじゃないぜ。」
そこには不敵に笑う若とネロの姿があった。
「く、貴様ら卑怯だぞ!チーム戦なんて!」
「お前らもしてたじゃねーか!」
倒れているバージルにこれでもかというほど髭と初代がパイを投げつける。
「チョ…チョコレー…(ばたっ)」
「「「「「チョォコレェェイトォォ!!」」」」
男達の醜いバレンタインはまだまだ続く。