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□2525HITお礼小説
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『速報ニュースです。ただ今午前8時、スラム街に潜伏していたとみられる麻薬密売グループ、NAGURAのリーダーが逮捕された模様です。』
いつもの朝の光景、テレビの中のニュースキャスターがここ最近起きたニュースを読み上げている。
「警察もちゃんと仕事してんだな。」
「何でも自分から出頭したらしいぞ。どういう心境の変化なんだろうな。」
麻薬の密売組織なんてこのスラム街ではざらにいる。
たかが一つのグループを潰したところで特に何も変わらないだろうに。
ズズズとコーヒーを啜りながら考える。
「ふわぁ〜…mornin,Nero.」
「遅いぞ。もうメシ食っちまった。」
遅れて登場した若はだらしなくデカい欠伸をしながら席についた。
今食べているのは若と初代、髭に珍しく2代目がいる。
「ん?2代目珍しいな。今日は遅かったのか?」
「ああ、昨日遅かったものでな。帰った時はもう朝だった。」
「?依頼は入ってなかっただろ?」
確かに。いつもは俺やバージルと同じくらいに起きてくるのに、少し変だと思っていたんだ。
「ああ、ちょっとな。」
言葉を濁す彼にはどうも不審な点があった。
2代目は食事を終えると、食器をキッチンへ戻し仕事着のコートを手に取った。
「また出かけるのか?」
「ん、まだ用が終わってないんでな。」
「用ってなんだよ。手伝おうか?」
「いや、いい。すぐ戻る。」
俺の質問には答えず2代目はさっさと扉を開けて出て行ってしまった。
「なぁ、どう思う?」
ズイとテーブルに座った面々を見て尋ねる。
「どう思うって?」
初代が最後のパンを口に入れ、食事を終了した。
「2代目だよ。何か怪しいと思わないか?」
「旦那の事だ。また散歩とかそんなんだろ。」
オッサンがフォークでベーコンをつつきながら答える。
「いや、それにしては何かおかしくなかったか?」
「そうか?」
「確かに、2代目は謎な部分が多いよな。」
若がトマトジュースを飲み干しながら口を出す。
「だろ?なーんか2代目って俺達に隠してる事がある気がするんだよなー。」
「だったら尾けてみるか?」
「へ?」
ちゅるっとパスタサラダを吸い込みながら若がにやりと笑う。
「え、尾けるって2代目を?無理無理。絶対バレる。」
「大丈夫だって、2代目だって昼間の街中じゃそんなに警戒してないだろうし、俺達だって気配消してりゃ気づかれないだろ。」
「いやでも……」
「2代目の事、気にならないのか?」