Crazy My Family!!

□1. 双子の訪問
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俺がオッサンの事務所に来て一週間がたった。デビルハンターとして『伝説』の傍にいることで何か学べると思ったからだ。


……がこの一週間で分かったのは、このオッサンが途方もなく駄目なオッサンということだけだ。一週間前、ここに来た時家の中…もとい生活スペースは掃除されておらず、キッチンなんて無残な光景で何十匹の黒光りする虫と戦ったのを覚えている。借金塗れのくせに平気で踏み倒し、そのくせちゃっかりとピザとストサンの分は確保している。
基本的にやる気が無く、やっている事といえばおきまりの指定席に腰かけて寝ているかR指定本を読んでいるかだ。


……何だ伝説って。駄目オッサン伝説か。
そして当の本人はと言うと、


「坊や、コーヒー。」


そういうオッサンはいつもと同じ姿で顔に雑誌をかぶせている。


「オッサン、仕事しろよ。」

「依頼が来ればなー。」


もう何度このやり取りをしたか覚えていない。本日何度目か分からない溜息をついた。
とりあえずコーヒーを淹れるためにキッチンへと向かったその時であった。突然事務所の真ん中に魔法陣が現れた。


「…!何だ!?」

「Hum…明るい時間からお客さんか。坊や、盛大にもてなしてやろうぜ。」


そういったオッサンの手には彼の愛銃エボニー&アイボリーがあった。俺も右腕の包帯を外していつでも戦えるように準備をした。


「…!出てくるぜ!」


その瞬間ドサッと音がして二つの影が投げ出された。思わず銃を構えたが、それは人のようだった。


「人…?術者か?」

「気をつけろ坊や。そいつらからは魔力の気配がする。悪魔かもしれない。」


オッサンに言われた通り気を付けながらそろそろと近づくと赤いコートを着た男が顔をあげた。


「ここは…?いや、そんな事はどうもいい!頼む!休めるところは無いか!?」

「は?」


いきなりそんな事を言われて俺は面食らった。男は切羽つまったように言って……あれ?


「…?オッサン?」


男の顔は紛れもなくオッサンの顔だった。それにしては随分若いが…


「へぇ、こいつは驚いた。そいつは若い頃の俺じゃねーか。」


ずいとオッサンは男の顔を見て珍しく驚いた顔をしていた。


「となるとそっちは…」


オッサンが真面目な顔になってもう一人の男をみやると呆然としていた男が我に返ったようにまくし立てた。


「そ、そうだ!コイツが怪我してて…頼む休めるところを貸してくれ!」


よく見ると二人の体は雨に濡れたのであろうかビショビショに濡れていて、そこに血や泥がべっとりとついていた。しかも青いコートの男は気を失っているようだ。


「…坊や、こいつらを手当てしてやってくれ。」


「は!?何言ってんだ!?っていうかこいつら敵じゃねぇのかよ!?っていうかさっきの『若い頃の俺ってどういうことだよ!意味がわかんねぇ!ちゃんと説明してくれよ!」


色々な事が突然起こりすぎて頭がついていかない納得のいく説明を求めるべくオッサンの顔を見たが、オッサンは真剣な表情をしていた。


「とりあえずは二人の手当てが先だ。客室は空いているいるよな?」

「けど…!」

「坊や」


半ば睨みつけるような眼光に俺は一瞬怯み、やけになったよううにああ!と自分の頭を掻いた。
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