Crazy My Family!!
□1.5. 『ダンテ』と『バージル』
1ページ/1ページ
若とバージルが来た翌朝、俺はいつもの時間に起きてシャワーを浴びるべく下に降りた。
下に降りるとキッチンにバージルがいて水を飲んでいた
「おはようバージル。早いな。」
「ああ」
「体はもう大丈夫か?」
「ああ問題ない。傷もふさがった。」
「そうか、よかったな。」
バージルはあまり人と話さないらしく、言葉数が少なく感じる。来たばかりでは更に少ない。
俺も寡黙というわけではないが好き好んでおしゃべりをするタイプでもない。沈黙の居心地が悪く、シャワーをさっさと浴びてしまおうとシャワールームに向かった。
「あ、そうだあんたも俺が空いたらシャワー使えよ。」
「…だが着替えがない。」
「そうだったな…俺の新品のヤツやるから入れよ。買い物に行かなきゃな。」
ニッと笑うとバージルは首だけ頷いて上に行ってしまった。その態度に俺は少しムッとしたがさして気にしないようにした。
シャワーから上がると棚の奥から買い置きしておいた下着類と昨夜干しておいたバージルの服を持ってバージルの部屋をノックした。
「バージル、着替え持ってきたぞ。」
ガチャッと音がして中からバージルが出てきた。
「ああ」
「シャワールームの位置は分かるよな?」
「…ネロ…」
「?何だ?」
「その…突然押しかけて悪かった。」
「!」
バツの悪そうな顔をして謝るバージルを見て俺は驚いた。今までの印象はあまり良くなかったが、ちゃんと謝っている姿を見るとダンテなんかよりもずっとちゃんとしてると思った。
「いいよ。それに俺に謝られても困るし。ここ、オッサンの事務所なんだしオッサンに言ってやれよ。」
「愚弟にか?」
眉を寄せてあからさまに嫌そうな顔を作って言った。
「愚弟に謝罪するくらいならお前の方が何倍もマシだ。」
「なあ、何でそんなに仲悪いの?」
素朴な疑問をバージルにぶつけてみた。
「奴とは昔からウマが合わん。」
「確かに性格は正反対だけどさ、双子だろ?それに若が助けてくれなきゃ死んでたんだぜ?」
「フン、あいつが勝手にやった事だ。それにアレは元々そういう奴だ頼んでもないのに出来る限り人を救おうとしている。今回もそうなのだろう。」
「それは違うと思う。」
「?」
「多分ダンテは他の誰でも死にそうになったら助けると思う。でも本気の命がけで助けたのはあんたが兄貴だったからだ。」
真剣にバージルの顔を見て言うと不意にフッと笑みを浮かべた。
「そんなこと分かっている。だがあいつとはそれくらい言っておいてちょうどいいんだ。俺達は昔からそんな感じだったんだ。あいつもそれを承知してるしそれを楽しんでいる。」
ポンと俺の頭の上に手をおいてバージルは階段を降りて行ってしまった。撫でられた頭を触って俺は何となくあの双子の距離感を理解した。
「不器用なヤツら…」
フッと笑うと俺はパンと自分の頬を叩いた。
「さて、朝食を作るか」
オッサンと若が起きる前に朝食を作っておかなきゃ