Crazy My Family!!

□2.5 暑い
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若とバージルがデビルメイクライに来てから早や二ヶ月がたとうとしていた。
そして来たのは二人だけではなくて…


「暑ぃ…」


そう、夏が来たのだ。


「暑ぃ…あちぃ……あちぃよぉ〜…」


若が今にも死にそうな声で呻いている。確かに暑い。暑すぎる。空調が全くもって働かないからだ。


「なぁオッサン、いつになったら空調直るんだ?」

「仕事がきて空調が直る程の金が入ったらな。」

「マジかよ…何でそんなに金が無ぇんだよ…」


夏が来て空調を起動させたのはいいが全く働かない。というより反応がない。原因は掃除のしなさすぎでほこりがつまったとの事だ。一度俺が掃除をしたが、重要な機械に完全につまってもう取れなくなってしまっていた。


「何でもっとちゃんと掃除しとかねーんだよ。」

「面倒だったんだ。」

「そんなドヤ顔で言うことか!」


若は暑がりなようでコートは当然着ておらず、半裸にズボンを膝あたりまでめくって前髪はゴムで上げている。パッと見ればバージルと見間違うが格好が格好なだけにだらしなく見える。今にも死にそうな顔でソファーでぐったりしている様子を見ると本当に限界のようだ。


「あ…ダメだ…俺…今日死ぬ…」

「大丈夫か?若。」

「ネロ…俺…俺…」バタッ

「!?若!」


若が突然倒れた。俺はびっくりして若と呼びかけながら顔をぺチぺチと叩く。


「放っておけ。どうせまた愚弟の三文芝居だ。」


バージルが読書中の本から顔は上げずに声だけかけた。
むくっとその声に若は起き上がた。


「相変わらずアンタは夏でも氷点下なみに冷たいな。つーか暑くねぇの?そんな格好をして。」


そう、バージルの格好は夏にも関わらずコートをきっちり着ている。スカーフこそいつもより緩めに巻いているがとても夏とは思えない格好をしている。


「貴様はバカか?暑いに決まっているだろう。」


顔を上げたバージルの額には確かにうっすらと汗が滲んでいた。


「じゃあそのコート脱げよ。見ているコッチが暑いんだよ。」

「断る。貴様こそそのだらしがない格好を何とかしたらどうだ?」

「無理だね。この暑い中でコートなんざ着ている奴の気がしれないね。」

「何だと?」


ピシピシと今にも喧嘩が始まりそうな空気に俺は止めに入ろうとした。だがその時にいつもの指定席に座っていたオッサンが先に口を挟んだ。


「オイオイこんな暑い中で喧嘩は勘弁してくれ。暑くてイライラしてんのも分かるけどやるんなら外でやってくれ。」
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