Crazy My Family!!
□3. レディと新しいダンテ
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夏も中盤に差し掛かり、何とか空調を直してDevil May Cryは依頼もなくだらだらと夏を過ごしているだけだった。
「あ〜…暇だな…」
思わず呟くとオッサンが声をかけてきた。
「まぁこんなクソ暑いときに依頼してくる奴もいねぇしな。」
「だよな…あれ?若とバージルは? 」
そういえば若とバージルの姿が見当たらない。いつもは事務所に降りてきてソファーで寛いでいるのに…
「あ〜…坊主はまた部屋に寝に行ったぞ。どうせ依頼もねぇしな。あと、お兄ちゃんは書斎だ。まだ読んでねぇ本があるんだと。」
何も暑いのに空調の無いところに行かなくても…と俺は思った。
「まぁそろそろ昼だし二人とも降りてくるんじゃないか?」
そうだなと思って昼食の準備をしようと立ち上がった時であった。事務所のドアが開かれてそこには一人の女性が立っていた。
「Hello. Dante. 相変わらず仕事してないのね。」
ドアを開けて入ってきたのは黒髪の大きなバズーカを背負った女性だった。…バズーカ?
「あら?トリッシュはいないのね。」
「レディ!トリッシュに何か用ならいないぜ。あいつは旅にでた。」
「あらそうなの?まぁあんたでもいい用事だからいいわ。」
「金ならまだねーぞ。」
オッサンと慣れたようなやり取りをする女性は美人でプロポーションもいいが俺は何よりもそのバズーカの方が気になっていた。
ひょっとしてデビルハンターの仲間か?
「知ってるわよ。あんたが金を持ってないの位。…ん?、いつの間にか住人が増えてるわね。」
こっちを見た女性に俺は思わず背筋を伸ばして必要以上にかしこまって挨拶をした。
「どうも初めましてネロです。フォルトナの一件でDevil May Cryにデビルハンター見習いとして来ました。」
「ああ、噂の。初めまして私はレディよ。ダンテと同じくデビルハンターをしているわ。あなた、そこのボンクラと違って凄くいい子ね。」
「ボンクラで悪かったな。」
「あらボンクラじゃない。借金は返さなし仕事もしない。どこか違うかしら?」
「仕事しないんじゃない。受けるべき依頼が来ないんだ。」
「それって結局選り好みしてるだけじゃないの。あなたそんな事できる立場だと思ってるの?ねぇあなたもそう思わない?」
同意を求めるように悪戯っぽく笑いかけたレディ思わず下を向いてしまった。女性なんてキリエくらいで他に接したことがないからあまり免疫がないのだ。
「あらかわいい反応。」
顔を覗き込もうとレディは顔を近づけてくる。内心すごく困ってオッサンを見やるとウインクで返された。
…この野郎…
焦っていると階段から二人分の足音が聞こえてきたと同時に言い合うような声も聞こえてきた。
「いきなり蹴り飛ばす奴がいるかよ!」
「フン、廊下でフラフラしている奴が悪い。早く降りろ。」
「ああ!?だからって暴力で解決すんなよ!」
「うるさい邪魔だ。早く降りないとここから突き落とすぞ。」
ギャーギャーと喚く若とバージルが降りてきた。喧嘩するくらいなら降りるタイミングずらせばいいのに。
「オッサン昼飯にするか…」
そこまで言いかけてレディの視線が階段の方を向いてありえないというような顔をしている事に気づいた。
「これはどういう事なのかしら?ダンテ?」
机をバンッと叩き、問い詰めるようにオッサンを睨みつけるとオッサンは降参したように手を上げた。
「分かった。分かったから睨むな。…オイ坊主とバージル!降りて来い。話がある。」