Crazy My Family!!
□4. 二人旅
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レディからの依頼があってから数週間、事務所はまた暇な毎日を送っていた。
あの依頼で預かっている箱は今は厳重に封印してある。この事務所にもそういう魔の力が集まるところみたいなのがあってその中心で何重にも封印を施しているのだ。悪魔を呼ぶ以上、こうでもしておかないと一日中戦う羽目になるからとオッサンが下した決断だ。とはいえ、時々呼ばれて出てくる奴もいるが俺達にとっちゃハエを叩き潰すのと同じで、正直退屈している。
オッサンとバージルはディアナ・ローウェンの事や魔術師同盟の事について書斎で調べているがあまり進展がないみたいだ。対して俺や若、初代は買い物に出る以外に迷子探しを一件(しかも家から1qも離れていないところで見つかった)をやっただけで、それ以外は家に引きこもっていた。
「なぁ、暇じゃね?」
若がソファーに寝そべりながら聞いてきたので、俺は読んでいた本から顔を上げてヘッドホンを耳から外して肩にかけた。
「暇なら本ぐらい読めば?」
「やーだね。面倒くさい。」
「あんたなぁ…」
呆れたように若を見やるとキッチンから初代が来て若のいるソファーに腰かけた。
「若、そっちもうちょい詰めて。」
「ん?あんたソレ何持ってんだ?」
初代の手にはコーヒーとパンケーキの乗った皿があった。
「お?目ざといな。お前らの分も作ったからキッチンに取りにいってきな。」
「マジで!?やった!」
初代は料理はダメなくせにスイーツを作るのが得意だ。それはプロ並みと言っても過言ではない程美味く、甘いものが好きな若をいつも興奮させている。
余談だがオッサンはスイーツを作ったことがないと言っていた。だからこれは初代の住んでいた世界のダンテだからこそできる技なのだと思う。
「ありがとうな初代。」
「いいって。料理はお前達任せだからな。甘味は任せとけ。」
「うぉー!マジで美味そう!!」
キッチンから若の声が聞こえて俺もキッチンへ移動した。そこにはおいしそうにキツネ色に焼けたパンケーキがあった。しかもその上に生クリームのホイップとイチゴにアイスまで添えてある。
「俺、ちょっと髭のオッサンとバージル呼んでくるわ。皆でブレイクタイムといこうぜ。」
そう言うと初代は二階の書斎へと上がっていった。
「ちょっ、若まだ食うなよ。皆揃ってからだ。」
「かてーなー。オカンかお前は。」
「誰がオカンだよ。」
子供を相手にするように若をなだめる。何だか孤児院のころを思い出すな…
ガチャリとドアの開く音がして皆が降りてきた。
「う〜ん…やっぱり慣れない事はするもんじゃねぇな。休憩休憩。」
「初代、コーヒーを頼む。」
「Yes ser.」
それぞれが席につき、昼下がりのブレイクタイムとなった。