Crazy My Family!!

□5. …誰?
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「I'm home.」


俺とバージルが依頼に出かけて6日後、今日俺達はDevil May Cryに帰ってきた。


「Welcome home.」


オッサンが最初に俺達を出迎えてくれた。


「何も変な事起こしてねぇよな?」

「まさか。実に平和的な毎日だったさ。」


どうだか。オッサンは嘘をつくのが上手い。何かを隠していてもそう簡単に尻尾は出さない。
しかしそういう時は若を見るのだ。彼が一番分かりやすく反応してくれる。


「若、何もなかったよな?」

「お、おう何もなかった。凄い平和だったぜ?」


若が口ごもる。何かあったな。
しかし事務所には特に変わった点は見られない。……何だか少し綺麗になっているような…

そこまで考えていた時に初代に話しかけられた。


「お前たちはどうだったんだ?上手くいったのか?」

「……半分いって半分失敗したな…」


思い出して悔しい思いが蘇る。それを見ていたダンテ達は不思議そうな顔をする。
話そうと口を開いた瞬間、俺より早くバージルが話はじめた。


「報酬は無しだ。あの依頼自体が悪魔によって仕組まれていたらしい。」


あの後俺達は念のため教会から街へ戻った。しかしそこには街など無く、全てあのエイダンという悪魔の見せた幻影だったのだと分かったのだ。


「ほ〜…実態を伴った幻覚ね…そりゃまた厄介なものが出たもんだ。」

「そいつ、エイダンって名乗ってた。しかも若やバージルや初代をここに連れてきたのは自分だって言ってた。」

「それマジかよ!」

「俺達を『力』と言っていた。自分のいた世界に俺達を連れて行って魔帝を倒させるつもりだったらしい。」

「魔帝?」

「ムンドゥスと言っていた。」


ムンドゥスという言葉を聞いて初代とオッサンの顔が強張るのが分かった。何かを知っているのだろうか。


「ムンドゥス?何じゃそりゃ?」

「詳しい事は知らん。だが問題は俺達が元の世界へ帰る方法をアイツが知っているという事だ。」

「その悪魔を捕まえて吐かせりゃいいじゃねぇか。」

「それが厄介な能力を持っているから逃がしてしまったと言っているだろう。この脳筋愚弟が。」

「誰が脳筋だ!アンタの方が脳筋だろ!」

「ダァーイ。」


双子が帰ってくるなりギャーギャーと騒ぎ始める。
何だかこの光景も久しぶりな気がして帰ってきたのだと実感する。


「オッサン…」

「ん?何だ坊や?」

「俺…バージルに全部話しちまった。」


オッサンは一瞬眉間に皺を寄せるとすぐに笑いそうかと言った。


「怒んねぇの?」

「これはお前とバージルの問題だからな。元々俺が首を突っ込む話でもなかったんだ。」

「でもあの時は…」

「坊やは『今』のバージルをちゃんと知ってそれでも話したんだろ?だったら俺が口を挟むところじゃない。」

「…サンキュ。」


内心ほっとしていた。
バージルに言えなかったことを言えたことと、そのことをオッサンに咎められなかった事とで心の負担が一つ消えた気がした。
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