Crazy My Family!!

□12. Devils X'mas 後編
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あの黒い鎧の悪魔と出会って俺はすぐにキリエの孤児院へ戻った。
だがそこには何事も無く、ただ静かなクリスマスの夜が広がっていただけだった。結局俺も自分の家へと戻った。


「おはようネロ。昨日はよく眠れた?」

「キリエ…」


朝、キリエが俺を起こしに来た。


「キリエ、昨日あれから何か変わった事は無かったか?」

「昨日?ネロサンタさんがいらっしゃった以外は特に無かったけど…」

「そっか…」

「何かあったの?」

「いや…何も無かったのならいいんだ。」


俺は話を切り、そのままキリエの作ってくれた朝食を食った。


「キリエ、悪いけどパーティーの準備は午後からでいいかな?ちょっと街を見廻りたいんだ。」

「ええ。それは構わないけど…やっぱり何かあったの?」


真剣なキリエの瞳に俺はうっと言葉をつまらせ、仕方がないと肩をすくめた。


「実は、昨日の夜に悪魔を見たんだ。だからこの付近にまだ奴がいないか調べたい。」

「悪魔……また…」

「心配ないよ。俺が何とかするから。」


笑って安心させるようにキリエに言うと、彼女は少し心配そうな瞳を向けてふぅっと溜息を吐いた。


「分かったわ。でも、無茶はしないでね。」

「ああ。」















俺はキリエと別れて昨夜の悪魔を探しに出た。昨日アイツと出会った場所、人気の無いところ、そして…今はもう瓦礫しかないフォルトナ城跡。
そこはもう立ち入り禁止区域になっていて、申し訳程度にフェンスが立てられていた。


「ここに来るのも久しぶりだな…」


フェンスを乗り越え、その場に降り立つと何とも言えない空気が立ち込めていた。
そのまましばらく歩いてみる。半年前まではこの街の象徴みたいだったのに今はもう、見る影も無くなっていた。


「やっぱここにもいない……か…」


諦めて踵を返そうとしたその時、全身を突き抜けるような悪寒を感じた。


「…やっとお出ましか。」
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