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□寒い日
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寒い。
そりゃそうだ。なんせ今は1月。寒くて当然だ。
早朝、カーテンを開ければ見事な銀世界。思わず魅入ってしまった程だ。こりゃ若が起きたらすぐにでも飛び出していくな。
「mornin,Nero.」
「mornin,Vergil.今日はいつにも増して早いな。」
「あまりに寒くてな。熱いコーヒーを飲みたかった。」
「OK.顔洗ってきな。すぐに用意する。」
寒いのは人間だって半魔だって同じ。爬虫類なんか冬眠だってする。そういう時は誰だって熱々のコーヒーぐらい飲みたくなる。
早朝、この時間帯に起きているのは基本的に俺とバージルだけだ。だが今日は、もう一人いた。
「ネロ……」
「ん?」
名前を呼ばれて振り返ると、その先の光景に俺は思わずカップを落としそうになった。
「何だ!?この毛達磨は!」
そう、その先には全身毛むくじゃらの物体が立ってネロ、ネロと俺を呼ぶのだ。
それは雪男だとか、CMキャラクターのスー○とかとよく似ている。
「待て。落ち着け。俺だ、ダンテだ。」
「はぁ?ダンテ?」
どのダンテだよと心で疑問に思いながらも毛達磨はごそごそと身をよじり、スポッと顔を出した。
「……2代目、何してんの?遊んでんの?」
「ネロ、寒いんだ。」
「……………は?」
どう考えても遊んでいるようにしか見えない2代目の格好に俺は頭が痛くなった。
「……え〜っと…寒いんだな?」
「寒い。」
「で?そんな格好をしていると。」
「ああ。」
「…………」
アンタの頭の方が寒いわ!
と思わず突っ込みたくなるのをぐっと堪えた自分を褒めてやりたい。
いくらなんでも寒いからってその格好は無いだろ…
その時、後ろからズザッと後ずさりする音が聞こえた。
音の方を見てみると洗顔から帰ってきたバージルだった。何やらスー○モドキの2代目を指差してぱくぱくと口を動かしている。
はぁっと俺は深く溜息をついた。
「で、2代目はああいう状況な訳?」
朝食の席にて全員が集まり、その全員が2代目への質問を何故か俺に浴びせた。
「寒い………」
「「「「「……………」」」」」
寒い寒いといってソファーの上でコーヒーを飲んでいる毛達磨…もとい2代目はどう考えても普段の彼ではない。
というかさっきから殆ど会話も寒いで済ませている気がする。
「最初見た時は雪男が山から下りてきたのかと思ったよ。」
「まぁ確かに気持ちは分かるな。」
「つか2代目って寒がりだったか?俺は別にそんな事ないけど。」