Crazy My Family!!

□1. 双子の訪問
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「分かったよ。一階の掃除頼むな。」


そう言うと青いコートの男をひきずって赤いコートの男を連れて二階の空いている客室に入った。


さて、まずは青い方か。かなりひどい傷だ。人間ではとても生きていられないような……とりあえず今は置いておこう。全体的に消毒を施した後、一番大きな風穴を大きく切ったガーゼを当て包帯を巻いていく。俺は医術の心得なんか無いから縫うなんてことは出来ないからとりあえず圧迫止血で血をこれ以上流さないようにする。そういえば体が濡れたままだ。後でタオルと着替えを持って来よう。

あらかた大きな傷を手当して無数の切り傷にテープをはってとりあえずこれで終わりだ。


「よし。これで終わりだ。次はあんただな。」


終始心配そうに青い男を見つめていた男はへ?と間抜けな声を出した。


「え?いや俺はいいよすぐ治るし。」


やっぱりか。俺は手当てをしている内に冷静になって頭の中で整理をしていた。そしてこの二人の正体をなんとなく理解していた。だが…


「いいわけねぇだろ。あんたも十分な傷なんだ。ほら、早くコートを脱げよ。」


そう言い切ると男はしぶしぶコートを脱いだ。もともと半裸にコートという奇抜な格好だ。手当てはしやすい。
そして赤い男の手当てが終わるとちょっと待ってろ言い、救急箱をもって俺の自室へと向かい別のものを持って帰ってきた。


「ほら、これで頭ふけよ。あとこれ、着替え。」


ぽんとタオルと着替えに持ってきたTシャツとスウェットを投げた。男はじっと渡されたものを見ていたが静かに頭をふきだした。その間に青い男の体をふき、着替えさせる。


「なあ、そいつ生きてるか?」


不安そうに男が聞いてきた。ああと答えると安心そうに息をついた。


「さあ、あんたは向かいの三部屋のどこかを使って寝てくれ。あんたが起きたらまた事情を聞くよ。」


そう言って俺は血塗れのコートやズボンを洗うべく洗面所へと降りて行った。それに…オッサンに聞かなきゃいけないこともあるしな。







俺がコートを手洗いしている間にヤカンに火をかける。流れていく赤い水を見ながら俺はオッサンに聞いた。


「なあ…あんた何か知ってんのか?説明してくれよ。」


いつの間にか後ろの壁に寄りかかっていたオッサンは渋い顔をした。


「俺だって分からん。突然来たからな。だが人に害なす悪魔ではない。」

「けど『人』でもないんだろ?」

「…よく気が付いたな。」

「当たり前だ。あんな傷、人間じゃとっくに死んでる。なあ『若い頃の俺』ってどういうことだよ?」

「…あの赤い方の坊主は昔の俺なんだ。似ているとかじゃない、魔力の質から雰囲気全てが俺のものと同じなんだ。それとあの青い方はまっぎれもなく昔感じた兄貴の魔力を持っている。」

「!それってどういうことだよ!過去からタイムスリップしてきたとでもいうのかよ!?」

「分からん。だがあの青い男は間違いなく俺の兄貴、バージルだ。」

「!」


突然言われた真実に俺はただ驚くことしかできなかった。あの二人が悪魔の血を引いているの分かっていたがまさかタイムスリップしたオッサン達だなんて…そんな事現実的にありえるのか?ぐるぐると回る事実に困惑しながら質問を続けた。
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