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□絶対に笑ってはいけない
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「2代目が?いいのか?ゲームには参加できないんだぞ?」
「いや、俺も仕掛けは用意させてもらうぞ。」
「それじゃ2代目が有利になっちまうじゃん。」
「いや、俺は笑う回数が少なくてもご褒美はなしだ。それだけじゃなく、俺を一度でも笑わせられたらソイツが王様だ。」
「本当かよ!?」
「ああ、ただし笑わせられたら…な?」
そう言って2代目は挑戦的に笑った。その瞬間その場の全員が同じ事を思っていた。
(((((絶対無理だ…)))))
2代目はこういうゲームでは負けた事がない。いや、それどころか一旦敵に回るとこの上ない強敵に変わるのであった。
いわゆる一発逆転に見せかけけた絶対要塞だ。
「まぁ、実際2代目がガチにゲームに参加したら王様は目に見えてるからな。」
「確かに…じゃあこのルールでいいか?」
「ああ、後時間を決めないとな。そうだな…制限時間は用意する時間を差し引いて二時間。丁度日付が変わるまでだな。」
「よし、それでいこう。」
皆が納得するとそれぞれが仕掛けの為に動き出した。
こうして俺達の戦いは始まった。
30分後、俺達はまたリビングに戻ってきた。見たところ皆手には何も持っていない。……いや、隠し持っているだけかもしれない…
「さぁ、皆揃ったか。始めるか。」
「ああ、皆笑ったらこれでお仕置きだからな。」
そう言ってにっこりと笑う2代目の手にはハリセンが握られていた。その笑顔が怖くて俺達は改めて気合をいれた。
((((((絶対に負けるわけにいかない!))))))
そうしてついにゲームが始まった。
開始5分、リビングはいつになく重苦しい空気になっていた。誰が最初に動くか、皆それぞれが腹の探り合いをしている。
「皆、腹減っていないか?大晦日だしケーキを持ってくるよ。」
そう言って最初に動いたのは初代だった。
(きた!)
何か仕掛けをしているに違いない!
しばらくしてキッチンから戻ってきた初代の手にはショートケーキの乗った盆があった。
それぞれの目の前にショートケーキの乗った皿を置いていく。
2代目、オッサン、バージル、そして俺。見たところ変わったところはない。最後に初代は残ったケーキを自分のところに置き、若には一枚写真のようなものを置いて何食わぬ顔で食べ始めた。
若の前に置かれた写真をみるとものすごく美味そうなケーキが映っており、そこにはペンで『ざまぁwwww』と書かれていた。
ヤバイ!吹き出しそうだ!若を見ると若干泣きそうな顔をしていた。その顔を見た瞬間耐えきれず吹き出してしまった。
「ぶふーっ!」
「ぶっ!」
「デデーン ネロ、髭、OUT。」
ついでにオッサンもひっかかたようだ。仕方なしにソファーから立ち上がる。
バチーン!!
「ぐっ!?」
「っつ!?」
ものすごい音がして2代目のハリセンがケツにぶち当たった。予想以上に痛く、しばらく悶えていた程だ。
ヒリヒリするケツをさすり、涙目になりながらソファーに座った。
恐るべしハリセン。