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□双子のはなし
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「ただいま母さん。聞いてよ!バージル、全然一緒に遊ばないんだ。」

「ダンテ!何喋ってんだよ!」


ぽかりとダンテの頭をバージルが叩く。


「うわっ!暴力反対!」

「あらあら、喧嘩はやめなさい。」

「だってバージルが!」

「ダンテが!」

「喧嘩をするな。」


突然二人の頭にゲンコツが落とされた。


「「っつ…」」

「喧嘩はダメだと母さんの言葉が聞こえなかったのか?」

「と…父さん帰ってたんだ…」

「ただいまエヴァ。ダンテとバージルは手を洗ってきなさい。」

「「はい……」」


父親のスパーダから手痛いゲンコツをもらい、双子は涙目ですごすごと洗面所へ向かった。


「俺達が手が早いのって絶対父さんの影響だよな。」

「同感…」

「何か言ったか?」

「「なっ…何でも無いです!!」」

「全く…」


逃げるように洗面所へ向かう子供達にスパーダはフゥっと息を吐いた。


「バージルがダンテと一緒に遊ばないんですって。」

「バージルが?あんなに仲が良かったのに。」

「新しく出来たお友達が原因みたい。」

「友達か…人間関係は子供でも難しいものだな。」

「そうね。何も無いといいんだけれど。」


スパーダとエヴァは顔を見合せてゆっくり微笑んだ。










次の日、やはりバージルは一緒に遊ばず木の下で本を読んでいた。


「またアイツは遊ばないのか?」

「ゴメン、今日も読みたい本があるんだってさ。」

「いつもそうじゃねぇか。お前達双子なのに全っ然似てねぇのな。」

「顔は同じだけど性格は正反対だな。」

「ひょっとして全然運動出来ないんじゃないのか?だから俺達と遊びたくないんだ。」

「えっ?そんなことは……」

「きっとそうだぜ。何かお高く止まって、やな奴だよな。」

「ちが……」

「きっと内心俺達にビビってんだ。弱虫だよな。」

「………」
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