ハレルヤの魔法

□バンド
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小雨「や、やりますかハルさん」

吹雪「小雨、緊張しすぎだろ」

ハル「…………」

いよいよハンマーを合わせることになり、小雨と吹雪、そしてハルは部室内のスタジオに集まっていた

小雨「そういう吹雪だって手が震えてるぞ」

吹雪「こ、これは……あれだ。武者震いってやつだ」

小雨「嘘つけ。素直に緊張してるって言えよ」

う、ウソじゃねぇー、と喚く吹雪に対して、小雨はハイハイと受け流す
すると、仲良くじゃれあう二人を黙って見てたハルが、二人に近づき、

ハル「小雨、吹雪。最後の教えを授けよう」

ハルは二人に優しく微笑みながら言う

ハル「全部忘れて楽しめ!!」

小・吹「「は?」」

頭に?マークを浮かべる小雨と吹雪のためにハルは説明する

ハル「練習は本番を楽しむためにあるんだからさ。ミスなんてどうでもいい!! 思いっきりやるんだ!!」

ハルは続ける

ハル「自信を持って、ボクと一緒に"バンド"やろーぜ!!」

その言葉を聞いた小雨と吹雪は、不思議と緊張がほぐれているのに気付く

吹雪「思いっきり……自信を持って……か」

少し考えたあと笑みを浮かべる吹雪は、

吹雪「そうっすね、ありがとうございますハルさん! お陰で快く演奏ができます!!」 

やる気が出た吹雪は、腕を挙げてやるぞー! と、元気よく叫ぶ

しかし、

小雨「……でも、大丈夫すかね……オレ……」

小雨はどうしても自分に自信が持てないでいた
そんな小雨に「あーもうッ!! そんなに心配しなくても大丈夫だって!」と吹雪が言うが、小雨は覇気のない返事をするだけであった

すると

ハル「大丈夫。小雨はちゃんと逃げずに頑張ったから」

ハルは優しく小雨の頬を掴み、

ハル「ボクの方がおねーさんなんだから……」

そして言う

ハル「おねーさんの言う事を信用しなさい!! なっ!!」

ハルの笑みに小雨は顔を赤くしながら、はい、と答えた


ハル「それじゃあいくぞー」

ハルがドラムを叩くために椅子に座り、小雨と吹雪は各々の楽器をアンプにつなぐ
小雨は大きく深呼吸し、ハルの掛け声に頷く。吹雪も少し復習してから、はい、と返事をする
そして、ハルがドラムスティックで四回リズムを刻みーーー演奏、『ハンマー』が始まった

ハルの豪快なドラム音が一定のリズムをきちんと刻む
小雨は指をスクロールしながら、ギター特有の鋭い音を響かせる
吹雪も指を必死に動かし、重低音を奏でる

吹雪(まだうまく弾けない所もある……)

小雨(でも、前とは違って……リズムに合わせて指が次に押さえる所を憶えてくれている)
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