ハレルヤの魔法

□バンド
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吹雪(これならハルさんの音をちゃんと聴ける)

二人がハルのドラムの音を聴いてると、ハルが自分達に合わせていることに気づく

小・吹((もしかして……))

そして気づく。一週間やって来た事は、"息を合わせるのに集中する"ための練習だったのではないかと
そして二人は自信を持って言える

今ならハルさんと息を合わせることができる!! と

小雨(『1+1』が『2』じゃなくて)

吹雪(『10倍』にも『100倍』にもなる!!)

そう、まさに魔法のように
そしてそれが…)

小・吹((バンド!!))


演奏が終了してハルは、やりきったと言わんばかりに、気持ちよく腕を上へ伸ばす
そして小雨と吹雪の方を見てみると、二人は自分の手を見ていた
『バンド』ができたことに喜びを感じているのである
クスッ、とハルは笑ったとき、二人は「ハルさんもう一回! もう一回!!」 と元気よく言うのであった……が

吹雪「その前にトイレ行ってきますッ!」

吹雪は部室を出て、ダッシュで校舎内のトイレへと向かう
演奏が終わって緊張が完全に無くなったのか、いきなり尿意が吹雪を襲ったのだ
小雨はズッコケ、ハルは苦笑いをする

ハル「どうする? 吹雪が帰ってきてからにするかい?」

小雨「待たなくていいっすよ。二人で合わせましょう」

吹雪がこの場にいたら殴られている所である

ハル「じゃあやりますかー!」

そうしてもう一度演奏が始まった

小雨(楽しい!! 楽しいよハルさん!! ハルさんの音が、オレの中に流れ込んで、一つになって……)

小雨は近くにあったマイク(マイクスタンドにセットされた)で歌い始めた
それを見たハルは優しく微笑みながら、ヘタだなー、と心の中で呟く

小雨(だから、オレの音も君に届けばいいのに……)

その時ハルは何かを感じた
感じたと同時に、心臓の音がドクン、と大きく動いているのにも気づく

ハル(ヘタ……なんだけど……何……この声……)

小雨は歌い続ける
そして心臓の音は、未だに大きいままだ

ハル(なんだ……コレ?)

その時

ハルは部室の中に大量の雨粒を見た

そして一滴の雨粒がハルの手に落ちて瞬間、いつも通りの部室に戻っていた

ハル(何……今一瞬だけ……小雨の音が雨粒みたいに……雨みたいになって……。まるで、温かい"雨の中"みたいに……)

ハルは前を向く
そこにはフィニッシュを決めようと高く飛び上がる小雨がいた

ハル(小雨……君はもしかしたら……本当は……)

そこでハルの思考が途絶えた

何故なら、小雨の着地が上手くいかず、よろけてアンプにぶつかり、ガシャーン!! と大きな音と共にアンプが倒れたからだ

小雨「あーッ!! やっちまったー!! ぎゃぁぁああああ!! 煙出てるッ!!」

このあと鷹木とタンポポにこっぴどく怒られたのは言うまでもない


一方、吹雪はというと

吹雪「工事中………あ……」

下半身が『一種の雨』によって濡れ、そのまま帰宅した
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