祓魔師
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燐「だりぃ〜…」
燐と雪男が15歳になった年末
二人は大掃除の為、家でもある南十字男子修道院を掃除していた
雪「さぼっちゃ駄目だよ、兄さん」
燐「わーってるよ!」
掃除の為に中にあった本などを青いビニールシートがひかれた外へ運ぶ
雪「あ、本類は虫干しもするから。雪で濡らさないでね」
燐「りょーかーい!……あ、やべ!?」
燐は力に自信があるのか大量の本をまとめて運んでいた為、一番上に乗っていた一冊が降り積もった雪の上へと軽い音をたてて落ちる
雪「もう。言ったそばから何してるの!」
燐「はは、悪ぃ悪ぃ………ん?」
燐は落ちた本を拾おうと手を伸ばすが、本には触れず、そのまま固まってしまう
雪「?…どうしたの?」
燐「いや…この本、なんか……」
雪「…?」
固まる燐を不思議に思い、雪男が落ちた本を拾い上げる
雪「………これ…多分、神父さんのだ」
燐「………それ、何て書いてあんだ…?」
雪「えっと…龍の神…召喚儀式…かな」
本の表紙の文字は少し消えかけていて読みにくい
だが、どうにかして読み取れば雪男の言葉に燐は首を傾げた
燐「龍の神?なんだそれ?」
雪「さぁ…でも古そうな本だし。大切な物なのかも」
燐「……ちょっと貸せ!」
雪「あ!?」
本を雪男から素早く盗み取ると燐は本を開き、パラパラとページを捲る
雪「兄さん、何を…!」
燐「俺が本当に召喚出来るか試してやるよ!…えっと…」
雪「駄目だよ!それは神父さんの…!」
燐「これは…血、だな!」
雪「あぁぁぁ!?」
奪い返そうとする雪男から逃げながら、難しい字が並ぶ内容を備え付けの絵から解読する燐
どうにか内容を理解すると左手の親指を軽く噛み、そして最後のページに載っていた魔法陣に自分の血を塗り付けた
それを見て雪男は叫ぶ
雪「なんて事を……」
燐「……ほら。やっぱり何も起きねぇじゃねーか。ぱちもんだよ、ぱちもん!」
「何がぱちもんだって…?」
「「!!?」」
雪「と、神父さん…」
血を塗った魔法陣を雪男に見せ付けながら、盛大に笑う燐の後ろから聞こえた声に二人は肩を揺らす
そちらに視線を向ければ、薄ら笑いを浮かべながらも怒っている感じの二人の父親…藤本 獅郎が立っていた
獅「あ〜、あ〜…大切な本に悪戯しやがって」
燐「だ、だって…よ……」
雪「ごめん、神父さん。僕が居ながら…」
獅「………はぁ…まぁいい。それ、どうせ俺のじゃねーし」
「「は…?」」
獅「その本は友人に頼まれて探してたもんだ、が…よし。いっそのこと俺と雪男の血も塗りたくってやれ」
雪「えぇ!?」
「大事な本じゃ…!?」と言う雪男に対し「いいよ。どうせアイツにやるんだ。その前に悪戯したれ」と言いながら獅郎自身の血を燐の血の上から重ねて塗り付ける獅郎
それを眺めていた雪男はただ溜め息を吐くしかなかった…
NEXT...
獅「ぎゃっはっはっはっ!」
燐「ほら!雪男も塗っちまえ!」
雪「(もう、どうにでもなれ…)」