祓魔師

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『来ましたよ』

雪「…では、こちらへ」

『お邪魔します』













祓魔塾が終わり、空が暗くなった頃。僕は約束通り、旧館男子寮へと足を運んだ

奥村雪男に促され中に入り、一室へと通されれば左のベッドの上には燐の姿もあった













燐「…………」

雪「どうぞ」

『ありがとうございます』













差し出された椅子に僕が座れば、まるで裁判所のよう
もちろん裁判官が奥村雪男で僕が被告人だ













雪「まず一つ、貴女は兄さんが悪魔と知っていると言ってましたが…?」

『うん、言ったね』

雪「いつ、どうやって知ったのか教えてくれる?」

『構わないよ。知ったのは初めて会った時、気を見て一目で分かったんだ』

雪「"気"…?」

『あぁ。君達にはまずそこからでしたね』














メフィストに教えた時のように同じ説明をすれば、二人は信じられないというような表情をする。さすが兄弟














燐「つまり…お前にはその…気?ってのが見えてるって事か?」

『そうなるね。なんなら二人にも見せてあげようか?』

雪「…僕達にも、見えるの?」

『凝縮すれば、ね』














僕はそう言って、右手を二人に見えるように差し出すと、掌に気を集中させる
そうすれば龍神特有の緋色の気弾がフワフワと浮かび上がった













雪「これが…」

燐「おぉ…!これ、触っても平気か?」

『駄目。爆発するよ』

燐「うぉ…!」













爆発発言に触ろうとしていた燐が思わず後ずさる














雪「…この事を理事長は…?」

『知っています。なんせ僕はあのピエロに召喚されたんだから』

燐「召喚…?」

『二人には馬鹿げた話だとは思いますが、実は…』















燐の秘密を知ってしまった以上、僕も話さないと釣り合わないと思い…龍神の事、召喚された本の事、血の契約の事を話した













『…だから僕は残りの二人を探しているんです』

燐「…………」

雪「………ちなみに…その二人を見付けたら、どうするつもりで…?」

『そうですね……まずは説教から始まってメフィストと一緒に土下座させます。そして僕が帰れるようにメフィストを説得します。それが無理のようなら一緒に悪魔ピエロ退治ですかね』

「「……………」」

雪「…見つかるといいですね」

燐「Σ!?」

『?…ありがとうございます』















僕の話に二人は何やら顔を見合わせた後、奥村雪男が「頑張って下さい」と言ってくれた

この人、良い人だ














雪「あ、僕の事は雪男で良いですよ。兄さんの事も名前で呼んでるみたいだし、フルネームだと長いでしょ?」

『分かりました。じゃあ、雪男で』

雪「はい。これから宜しくお願いします」

『宜しく』

燐「(雪男、お前……)」














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