Red Flame
□#0000000000 最高の内輪もめ
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無価値。価値のないもの。
無意味。意味のないもの。
例えば、この世界のようなもの。
岩竜は、広く開けた視界の中で青色の光が暴れ狂うのを眺めていた。人間たちが苦悩の、あるいは憎悪の表情をこちらに向け、何かを叫びながら光を発する。
ばかなやつらだ。
ぶつ切りの言葉が霞んだ意識の中にぽつりと浮かび、すぐに飲み込まれた。
返せ。
返せ。
返せ、返せ、返せよ。
沸騰する脳髄が叫び訴える。それだけに意識が捕らわれ、暴走を生む。
無心のまま大地を揺らせば、生じた地割れの中に人間の何人かが落ち、岩に肉体を貫かれて死んだ。
体中が、軋みを上げる。慟哭し、絶叫する。
形の不明瞭な心とやらは痛まない。なのにぎちぎちと、うるさい。
返せ。
俺に、返せ。
何を求めているのかも、分からないままで。
岩竜は今日も破壊を繰り返す。