紫色の恋

□昔の話をしようか
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トリコ達と別れた後。
寝言で言っていた事を忘れられないココはキッスの上で寝転ぶレイラに聞く。


ココ「ねぇ、レイラ。
さっきキミが寝言で言ってたことなんだけど…」


『寝言…?なんか言ってたか?』

ココ「守れなくてごめん、ギルって…」


寝転がっていたレイラは起き上がって座る。
少し考えた後、ゆっくりポツリポツリと話し始める。


『私は…正直いつの時代から生きているのかはハッキリしてないんだ。』

ココはそれを聞いてまたしても目を見開く。

『私がハッキリ覚えているのは神代…メソポタミアのウルクの古代都市がある時代からだ…ざっと5000年前といったところか…』


ココ「5000年…!?そんな大昔から…!?」


『古代の王の友人がいたと言っただろう?
それがウルクを統べる王…英雄王ギルガメッシュ。』


ココ「だから…ギル…でも守れなくてごめんは…?」


その言葉にレイラは悲しそうな顔で顰める。
泣きそうなのだろうとココは思った。


『古代都市ウルクはね…私のせいで滅びたんだ。』


驚愕の事実を叩きつけられるココ。
ポツリポツリと続けるレイラ。


『当時、私には英雄王ともう1人友人がいた。その名はエルキドゥ。
彼らは2人でウルクの英雄として謳われたが、神々の制約で人前には出れない私にも彼らは良くしてくれた。
本当は神々は私を人前には出したくなかったらしい。
私の存在を認知すれば、人々は私を崇めるだろうと。
それを恐れた神々は私に人には見えないという制約をかけた。』

ココ「人には…見えない…制約…」

確かにレイラの存在は異質だ。
神々からの恩恵が強い神が現れたら人はそれを崇め奉るだろう。

懐かしい、悲しいと言う顔で続けるレイラ。


『あの時代は、簡単に言えば神の時代と人の時代を別ける時代。
エルキドゥは元々神々に反逆したギルガメッシュを神々の元へ連れ戻すための”鎖”として造られたはずだが、逆に友になってしまった。』



2人の友人は1人の神と出会う。
神々から愛されすぎて箱入り娘だった神に。
箱入り娘は2人から様々な事を学ぶ。
人々の暮らし、人々の食事、人々の喜怒哀楽、そして人を愛すること。

そんな暮らしが続くと思っていた矢先。
エルキドゥが心を得た後、心ごと砕かれ、人形として土に還ってしまった後すぐ。
同じくしてレイラも神々に連れ戻され、神々はレイラに問うた。


「お前はどちら側で生きていくのか。」


女神として生きるか、女神として人に寄り添って生きていくのか。
神々は女神インフィニティという存在を愛していた為、女神という名を剥奪する気にはならなかったらしい。


『私は、女神として人と寄り添って生きる事にしたんだ。
やはり女神としての力を全て持っている訳にもいかなくてね。
この身体は制約に縛られているんだ。
全部で3つの制約に。』

制約を結んだ後すぐにウルクに戻ったがウルクは滅びた後だった。



『7つの人類悪の手によってね…』



そう話したレイラは静かに泣いていた。
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