短編
□煙草シリーズ
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『貴方のにおい』
―某ボンゴレアジト
コンッコンッ
短いノックの後、嵐の執務室に入る。
でもそこに、私の探していた人は見えない。
『隼人ぉ〜』
試しに呼んでみる。
『………。』
が返事は無い。
『もう、一週間の任務が終わって直ぐ隼人に会いに来たのに!』
ムスッとしながら辺りを見る。
すると、小さな物音が。
ガタッ
『にょぉん♪』
『瓜!ただいま』
名前を呼べばスリスリと擦り寄ってくる。
『君のご主人様はごと行っちゃったのかな?』
瓜は私を奥の部屋へ案内した。
ベッドが有るのにソファで眠る、瓜のご主人様『獄寺隼人』。
隼人の眠るソファに音をたてないように近寄る。
少し近付いただけで分かる煙草のにおい。
銀色の髪を梳いても疲れているのか隼人は起きない。
聞こえてくるのは静かな寝息のみ。
『ただいま』
触れるだけのキスをした。
私も隼人の側でソファに背を預け、床に座った。
瓜も私の隣で眠りにつく。
煙草のにおい
隼人のにおいがする
大好きな彼のにおい…
ねぇ、早く起きて
貴方の声が聞きたいよ
『おかえり』
って言って
とても近くで
隼人のにおいがする
とても安心する
心地良い…
―数分後
目覚めた隼人は何時から居たのか、側で眠る未来にそっと自分のジャケットを掛けた。
『おかえり』
さっき寄り近くに
貴方のにおいを感じる
『…ん』
久しぶりに貴方に合うまで後3秒。
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