Z E R O B O K U
□LAST.
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もう何度目だろう。
帰って来て、お風呂で2回、部屋で5回……否、もっとしたような気がする。
「……気持ち良かった」
「ん、俺も」
零崎は僕に小さく音を立ててキスをする。
零崎の頬の刺青が、細かく汗を弾いていた。
僕は、その刺青にすがるようにキスを繰り返した。
僕たちは長い間、見つめ合っていた。
先に口を開いたのは零崎だ。
「………寝ようか、いーたん」
「……そうだね」
―――眠ってしまいたくない。
君を、ずっと見つめていたい。
なんて。
…………戯言もいい所だ。
「ん」
伸ばされた零崎の腕に、僕は頭を乗せる。
「ねぇ零崎」
「何だ?」
「愛してるよ」
かはは、と零崎は笑って、僕にキスで応えた。
僕は布団に潜り込むと、零崎の胸に自分の頭を近付けた。
零崎が僕の背中に腕を回す。
僕も同じように零崎の背中に腕を回して、零崎を抱きしめた。
――人間は、全て自分の前にあった愛にも憎しみにも気付いていない。
だから、僕たちは『今』此処にある愛を確かめ合おう。
―――瞳を閉じると、零崎の胸の音がよく聞こえた。