☆ 

□春夏秋冬
1ページ/1ページ

 


「…………寒い」
「だって冬だし。雪降ってるし」

零崎が両手を擦り合わせながらそれに息を吐く。
その仕種と、赤くなった頬が可愛くて僕は思わずキスをした。

「なっ、いーた………」

そのまま両手を零崎の首に持って行った。

「ひゃ!ちょっ、やめろって!」
「首は暖かいよ」

零崎の熱で、指先がじんわり溶けるみたいだ。

「冷たい冷たい冷たい!」
「あー暖かい」
「畜生俺もやってやる!」
「うわっ………」

冷たくなった零崎の指先が僕の首にまわる。

「おー、溶ける溶ける」

同じこと言ってるし。

「はい終わり」
「は?いーたんの方が長かっただろ、ずるい!」

零崎の異議を無視して、その言葉を遮るようにキスをした。
唇を離さずに、握ったままの零崎の手を僕の右ポケットに入れる。

「…………」
「こうしてれば暖かいでしょ?」

僕は零崎の手にポケットの中のカイロを握り込ませた。

「零崎、顔真っ赤だよ」
「……寒いからだっつの」
「へえ」
「にやにやすんな!」

まあ、そういうことにしておこうか。

「…………熱い」
「え?」
「いーたんの手、熱い」
「………はは」

顔が赤いのは僕も一緒、か。





fin*





 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ