Z E R O B O K U
□10年バズーカ
1ページ/2ページ
「あー……暇だなあ……」
僕は一人溜息を吐く。
「いーたん!」
「え!零崎!?」
突然現れた零崎が僕に後ろから抱き着いてきた(ホントにどこから出てきたんだ)。
「会いたかった………」
「……キモっ……」
「キモ……!!……いーたんが暇だって言ってたから来たのに」
「………何で分かるんだよ」
「ん?愛の力?」
「おい、盗聴器どこだ言え」
「言わない!」
「あ、もしもし絵本さん?」
「やめていーたん教えるから!!………鬼……」
僕は壁に嵌め込まれた盗聴器を外そうと立ち上がった。
零崎は自分が持ってきたものを自分の膝に置く。
「零崎、それ、何?」
「10年バズーカ」
「10年バズーカ!?」
はあ!?
「いっやー、イタリアに飛んでたら変な牛ガキが」
「わかったわかったからもうそれ以上言うな!!………まさか、それ………」
「うん?いーたんに使うために奪ってきたに決まってんだろ。かはは」
「待て待て待て!!作品枠を越えるような無茶をするな!!」
「覚悟しろよいーたん!」
零崎が僕に10年バズーカを向ける。
「いくぜ!」
「やめろー!!」
*
煙が晴れた後そこに現れたものを見て、俺は絶句した。
「いーたん………?」
「ふえ……っ……」
ぼろぼろ涙を零しているいーたんが出てきたからだ。
いーたんが顔を上げて、俺に気付いた。
「……えっ、あっ、零崎!?何で……あれ?でも、何か若い………?」
「あー……その辺はアレな感じで……。何で泣いてんだよ」
俺は手を伸ばして、そっといーたんの頬に触れた。
いーたんの瞳からまた一粒涙が落ちる。
「あ……ごめん!俺……」
「嘘みたいだ……。今まで零崎、僕を置いてどっか行ってたから………」
………はあ!?
なっ……何してんだよ10年後の俺!!
俺は(今とは違って)素直で可愛い未来の恋人を見つめる。
いや………今が可愛くない訳じゃないけど。
いーたんが俺の肩に頭を置いた。
「零崎………」
かっ…可愛い……!!
「いーたんっ」
俺は我慢できなくなって、いーたんの唇に自分の唇を重ねた。
「………ふ……っ……」
いーたんの服に手をすべり込ませた刹那、周りに煙が立ち込めた。
「な……いーたんっ………!?」