Z E R O B O K U

□No Title
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「なあ人識くん」
「何だい垓輔くん」
「いーたんって可愛いよね」
「いーたん言うな。あれは俺のだ」
「俺のだ、ね。ふふ、彼は小さい頃もさぞかし可愛かったんだろうね」
「当たり前だ。てか何でお前と語らないかんのだ。帰れ」
「分かったよ。………はあ、体を小さい頃に戻す薬ができたから持ってきてみたんだけどなあ」
「ちょ……待て兎吊木!いや兎吊木様!」









「ただいまー」
「おっお帰りいーたん」
「………?」

零崎の瞳がキラキラしている。

「何かキモい」
「きも……!か、は……めげない、俺はめげないぜ…!」
「疲れた。でもこれもみいこさんのため」

零崎がむっとしたように見えたのは気のせいだろうか。

そう、僕はみいこさんに頼まれて本を買いに行っていたのだ。
暑い中頑張ったぞ僕。

「お疲れいーたん、水道水でいいならあるけど」
「うん、貰うよ」

零崎の手から水を受け取って、一気に飲み干した。
何故か零崎が横から食い入るように見つめている。

「…何?」
「………ないよなあ。はあ……」
「意味分かんない。僕汗かいたからシャワー浴びてくる」
「へーい………」

何なんだろう。









「零崎ーーーーっ!!!」

何、何なんだこれ!

「どっどうしたいーた……………ん」
「零崎っ、何、これ」

小さな手。細い体。
今、僕は小柄な零崎よりももっと小さくなってしまっていた。
例えば、10歳くらいの、子供。

「………子供!?え、嘘っ……」
「ほんとだったのか…………兎吊木様」

隣で零崎が放心したように口を開けている。

「もう、零崎、何なのこれ、どうしよう!」
「どーもこーも…………いーたん」
「何っ」
「俺やばいかも」
「は?ってちょっ、脱ぐな変態!何やって」
「小さいいーたん萌え!」
「ちょ、まさか………この体と、その体で、やるつもり……?」
「やるつもりだ!」
「ばか!?僕死ぬって!」
「やってみないと分かんないだろ!?」
「分かれよ!あんっ」

慌てて口元をおさえた。
零崎の手が僕の薄い胸に触れて、声が出てしまったからだ。
くそ、恥ずかしい。

「ちょ、ほんと、やめて……」

何故か涙が出てくる。
小さくなって、涙腺も脆くなったんだろうか。

「いーたんまじ可愛い……萌え死にそう……」
「変なとこさわんなっ」
「いーたん」

零崎が僕の耳を甘噛みする。

「優しくするから」
「ひゃっ………」

零崎の腕が僕の腰を支えるように持って抱えた。

「いーたんもちょっとは興味あるだろ?」
「っ…………死ねっ」
「ああ、まじ可愛い………」

がし、と抱きしめられる。
僕よりも大きい零崎の体が、何だかおかしかった。



 
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