Z E R O B O K U

□願い言
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7月7日。

僕はいつものようにイベント好きな零崎と七夕を祝っていた。

「いーたん、何書いた?」
「教えない」
「えー」

言うわけないし。

「………あ」
「なに?」
「上まで手が届かねえ!」
「………零崎ってチビだよね」
「チビ言うな!」

哀れ哀れ。
掴み掛かってくる零崎をかわして、僕は笹の1番上に手を伸ばす。
確か空に近いほど願いは叶うんだっけ。

「……いーたんずるい」
「何か言った?」
「ずるい!」
「あ、零崎そこにいたんだ。小さくて見えなかった」
「殺すぞ!いや、殺さねーけど!」

零崎は自分の短冊を持ったまま座り込んだ。
いじけてる。

「ほら貸して、結んでやるから」
「……いーたん!」
「どのへん?」
「てっぺん!いーたんの横!」

ああ、何か子供を相手にしてるみたいだ。

「……何これ、よくこんな恥ずかしいこと書けるよね。しかもこれ定番じゃん。子供か」
「だってホントのことだし。いーたんのは……は?何これ、いーたんやる気あんの?」

零崎が怪訝そうに僕を見る。

「本当の願いは心の中にしまっておくものなのだよ」
「何キャラだよ」

短冊を結び終わって零崎の方を振り返ると、不意打ちでキスをされた。

「俺はしまっておいたら爆発するから行動に移すけど」
「………とことん恥ずかしい奴だな」
「かははっ」

不意を打たれたことが何となく悔しかったから、僕の願い言が零崎と同じだっていうことは秘密にしておくことにした。






『いーたんとずっと一緒にいれますように。』






おまけ↓


「まあ、願い言なんてまだいっぱいあるんだけどな」
「そうだろうね」
「もう一枚書いていい?」
「どうぞ」
「いーたんが夜素直になってくれますように、と。はいいーたん、1番上によろしく」
「おっけー」
「って破りやがった!」
「織姫と彦星は興味ないってさ」
「……うう……」
「何やってんの、ほらはやく中入りなよ」
「だってまだ10時だぜ?」
「なんか今日はやらしいことしたい気分だなー、なーんて」
「!いーたん!」
「飛び付くな押し倒すな尻を触るな」
「いーたん好き!愛してる!」
「はいはい」

知ってる。







 
 

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