Z E R O B O K U
□LAST.
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「あー……やっと終わった………」
零崎が背伸をしながら言った。
「……そうだね」
なにもかもが終わった。
全てを終わらせる引き金を引いたのは、僕だ。
零崎は僕の前を歩く。
―――雰囲気で解った。
零崎は、またどこかへ行ってしまうのだろう。
全てが、終わったから。
……そうしたのは、僕だ。
零崎がどこかへ行って、僕はまた一人になって。
もう二度と会う事は無いんだろう。
僕は、零崎に置いて行かれないように足を速めた。
後ろから零崎の背中を見つめる。
この殺人鬼が……愛しくて。
―――これはエゴだ。
『行かないで』
なんて。
所詮―――只のエゴだ。
それこそ、戯言だ。
僕はじっと零崎を見つめながら歩く。
ふと、何かを思い出したように零崎が僕を振り返った。
「なぁ、いーたん。セックスしようか」
その顔には、いつものにやにやとした笑みは浮かんでいなくて。
代わりに―――苦しそうに僕を見つめる瞳が、そこにあった。