H I T O I Z U

□鬼ごっこ
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僕と零崎、理澄と戯言遣いのお兄さんは四人で河原に来ていた。

来てみたはいいものの、何もすることがなかった僕たちが始めたのは――…




「「「「じゃんけんぽんっ!!」」」」


「………ぐーと、ぱーが2つずつだねっ!あたしぱー!」
「僕もぱーだ。じゃあ、僕と理澄ちゃんが鬼だね」
「頑張って捕まえるんだねっ!」




2対2の、鬼ごっこだった。








遠くで数を数える声が聞こえる。

僕はそばにあったベンチの影に座り込んだ。

「………て云うか」

あの二人は僕を捕まえられると思ってるんだろうか。

「無理だろ」
「だよな…………って、零崎!?何でここにっ」

零崎は僕の口を手のひらで塞いだ。

「ばか、いーたん達に聞こえるだろ。………ここしか隠れる場所ねーんだよ」
「だからって……二人一緒に捕まっちゃうだろ」
「大丈夫だって」

零崎は僕の隣に腰を下ろす。


………………あれ?


「………零崎、これって鬼ごっこだよな?」
「そうだぜ?」
「いや………」


かくれんぼじゃん!


「別にいいけど……。……あ………」

お兄さんと理澄は数え終わったようで、こっちにやってくるのが見えた。


話し声が聞こえてくる。


「ねえ、理澄ちゃん」
「なに?」
「あの二人……捕まえられると思う?」
「無理だねっ!」
「即答かよ!確かに聞いたのは僕だけど!」

お兄さんが理澄の頭を軽く小突いた。

………あれは僕にケンカを売っているんだととっていいのかな、お兄さん。ん?

「出夢」

呼ばれて、僕は振り向く。

「何?…………ちょ……っ…」

零崎が、僕にいきなりキスをしてきた。

「待てっ…て……!零崎!」

零崎は構わず僕の腕を掴んで、熱い舌を差し込んでくる。

「……っ……ふ………」

しばらくして、零崎が離れた。

「なっ……にしてんの!おにーさん達に見つかったらどうするんだよ!!」

僕は小声で怒鳴る。


そっと、零崎の手が僕の頬に触れた。


「出夢が可愛くて」


「………っ……!ばかっ!」


一喰い。


当然のように零崎は避けた。


………ちっくしょー……。

照れ隠しなんかじゃないからな。

「…………あ」

零崎の腕が僕の腰に回った。

「え……零崎………?」

零崎は僕の耳に唇を寄せて囁く。

「ごめん出夢。もう我慢できねー。かはっ」
「……はあ!?」


零崎の指先がそっと僕の体のラインをなぞった。


「っ……零崎っ………や、め」




「―――……捕まえた。」




「…………ふぇ?……ってあー!おにーさん!理澄っ!!いっいつからっ!?」
「ん?そこの変態に唇を奪われて出夢くんが喘いでた、なんて僕らは知らないよ。ね、理澄ちゃん」
「兄貴………アダルトなんだねっ!!」
「ぎゃーーーーっ!!!!!」

僕は叫んだ。

お兄さんはいいとして、理澄にっ……理澄に聞かれたっ………!



僕は泣きそうになって零崎を睨んだ。

「かはは。妹公認だぜ!良かったな、出夢!」


………この男はっ………!!


「…………ばかーーーー!!!!!!!」


両腕を使っての暴飲暴食。


………避けられた。




―――ちゅっ。




…………しかも、かわされてキスされた。



「……はあ………」
「兄貴………!」



「……っ………零崎なんて、大っ嫌いだーーーっ!!!!!」








―――もう二度とこのメンバーでは遊ばない。


僕は、そう誓った。




 




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