H I T O I Z U

□No title
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いきなり背中を突き飛ばされた。


人識と僕は調度前にあった暗い倉庫の中に倒れ込む。
外からはかちゃ、と鍵をかける音がする。

「へ?………ちょっ、人識っ、鍵開かない!」
「はあぁ!?誰だ今の!開けろ!……………畜生………殺して解して並べて揃えて晒してやる………」



―――数分後。



「………ぎゃはっ」
「……何で笑ってんだよ」
「だってさあ、よーく考えてみろよ。暗い密室、電気すらない、そんなところに僕と人識二人きり。結構楽しいじゃん」
「馬鹿かお前は―ってちょ、脱がすな痴女!」
「いーじゃんやろーぜー、こんな状態でやるのも楽しいかもよ?」
「楽しくねえ!俺は一刻もはやくここを出た……」

僕は涙目になって人識を見つめた。

「………何だよ」

何も答えずに見つめ続ける。

「……………あーもー、分かったよ!無理なあがきはしない!自然に出られるのを待つ!でもやらねえ!」
「ちっ」
「演技か!」

演技です。

「あ、あれは?何か前持ってたじゃん、ピッキングの道具」
「人を泥棒みたいに言うな。アンチロックブレードか?あれなら今頃赤色の手だぜ…はー……あ、もしかしていーたんとかが持ってたりして…………んむっ」

次の言葉を言われる前に僕は零崎の唇をふさいだ。
もちろん僕の唇で、だ。

「……………ぷはっ、出夢てめー……!」
「僕と一緒にいる時に他の奴のことは話すなよ」
「………出夢」

僕は人識の顔を下から覗き込む。
すると、人識は照れたように目をそらした。

「あのさあ人識」
「やらない」
「違うって」
「やらない」
「ここ出られたらどうする?」
「やらな………………は?」
「だーかーら、ここ、今すぐ出られる方法あるんだって、ぎゃははっ」
「なっ……はやくしろよ!」
「ただし、条件がある」
「………何だよ」
「今夜僕とベッドインね」
「はあぁあぁ!?何でそんなことにっ」
「開けるぞ!」
「待て待て待て!」
「おりゃ」


がこん。


いとも簡単に扉は破壊された。
何でかって?
僕の「一喰い」で。

「…………てめ、最初からこうやれば出られるって知ってたな」
「ぎゃははははっ、何のこと?」
「………帰る」
「待った」

僕は人識の腕に自分の腕を組んだ。

「ベッドイン、だろ?」
「嫌だ!俺は知らん!」
「ぎゃはっ、男らしくないぞー、零っち。ばーか」
「ちょっ、やめ、そんなとこ触んなっ…………」








「………うまくいったみたいだね」
「兄貴、よかったんだねっ」
「出夢くんに自分を閉じ込めて欲しいって言われた時にはびっくりしたけど……新手のプレイかと思っちゃった」
「………お兄さん気持ち悪い」
「え!嘘嘘嘘もう言わない!理澄ちゃんっ!」





fin.






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