Z E R O B O K U

□1st Contact
2ページ/2ページ

 



僕は深く溜息を吐く。

「いの字、どうした」
「…いえ、何でもないですよ」
「それならいいんだが」

あっさり返事がきたのを見る限り、心配なんてしてくれてないみたいだ。
部屋を出て行こうとしていたみいこさんが、何かを思い出したように振り返った。

「…昨日は朝帰りだったようだけれど。どんな具合だった?」
「…………」
「髪の青い娘か?」

僕は再び溜息を吐いた。

「あいつは強迫的な引きこもりですからね……。玖渚とは別の奴です。男ですよ」

ふうんと頷いて、みいこさんは部屋を出る。

「まさか、言えるわけないよなあ……」

僕は一人呟く。
朝帰りの相手が男で、しかもそいつに犯されたなんて。




それから数日経って。




カラオケボックスの中で、僕は例の殺人鬼と再び向かい合っていた。

「………」
「………」
「………あのさ」
「……なに」
「この間は悪かったな」

零崎が僕から目を背ける。

「何かよく分かんねえけど、いつの間にかやっちまってた」
「…………」

無責任な発言だなあ、オイ。

「いいよ、別に」
「は?」

零崎が身を乗り出してくる。

「やっちゃったものはしょうがないし。誰にも気付かれなかっただけでも幸いかな…」
「……すいませんでした」
「それに」
「?」

零崎が小さく首を傾げる。

「君のことは、嫌いじゃない」
「………っ……!お、俺も!」
「ちょっ……」

零崎は正面から抱き着いてきて、僕の顔を見上げる。
そのまま、10秒ほど。

「………なんだよ」
「俺、お前のこと嫌いじゃない」
「……さっきも聞いたよ」
「ていうか逆に好きかも」
「え」


前途多難。









なんという支離滅裂

 
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ