G I F T

□こんな日は
2ページ/3ページ



















「…じゃあ僕先に行くから」

「あぁ、あとでな」






−ガララッ…ピシャン−






雲雀の背中を見送って、了平はシャツを羽織った。

さっきまで事が起こっていたベッドを見下ろし、シーツの乱れを心持ち直す。

「ガキのくせに……」

ふと、背後でそんな声が聞こえた。だが了平は驚きもせずただ苦笑する。

「悪かったな先生。雲雀からの誘いは滅多にない事だったから、ついな」

「だぁからってヤっていいなんて誰が言った」

先生と呼ばれた男…シャマルは、眉間にしわを寄せ了平を見下ろす。
ため息をついた顔は、本気で呆れているようだった。

シャマルはがしがしと頭を乱暴に掻き、反対側のベッドに腰掛ける。
了平は申し訳ないような感謝したいような、複雑にシャマルを見た。

「大体、男にベッド貸してやっただけでも優しいぜ俺」

「事が始まっても止めに入らなかったしな」

「カーテンで見えなかったんだ、静かになったかと思やぁこれだ」

「ガキの前に思春期男子だからな、仕方ない」

「自分で言うな。つかお前俺が居ることわかってたんだからヤってんじゃねぇよ」

「理性が吹っ飛んで、あとは覚えておらん」

シャマルは心底からため息をついている。





雲雀とそうやって接していて、理性が吹っ飛ぶことは今までなかった。どんなに欲求が溜まっても、それは理性の範囲内だった。
それは少なからず雲雀の牽制があったからだろう。

互いに傷つかないよう傷つけないよう、雲雀が節度諸々を保っていてくれていたからだ。

それが今日は、勢いも手伝ってか雲雀も全てに力を抜いていた。
おかげで同じ室内にシャマルが居ることも忘れ、欲求のままに突っ走ってしまった。
そんな自分に一番驚き呆れているのは、了平自身だ。

自分の中にこんな衝動があるなんて思いもよらなかった。

ただ代わりに不思議と、雲雀をより好きになれたと思う。
まだ触れていた身体が熱を持って、感覚が離れない。

「言っとくが、次からは此処は貸さんぞ」

シャマルは立ち上がり言った。
呆れ、とう言うよりむしろその顔はうんざりとした様子だった。

「大丈夫だ、次は結構先になるだろうから」

多分今頃、雲雀も自分の中の衝動に戸惑っているだろう。

その衝動の違和感が取れない限り、それまで当分おあずけだ。
















アトガキ→
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ