運命を紡ぎし者
□記憶を無くした少女
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薄暗い闇の中に倒れている少女がいた。
ぼんやりと視界が定まらない少女の体は傷だらけで、特に腹部からの出血が酷かった。
出血のせいで、少女の体温はどんどん冷えて行く。
そんな中、少女の側に舞い降りた一人の女性がいた。
綺麗な装飾の付いた帽子と長い髪を三つ編みにしている。白がベースのロングスカートを着ている。
女性は、少女を抱き起こして傷を癒すと少女に優しく微笑み掛けた。
「可哀相に…。こんなに傷だらけになって…。でも大丈夫。嫌な事、悲しい事、全て忘れて幸せになるのです。…私が貴女をお連れします。絶対幸福の世界へ…」
女性が言い終えるや否や、二人は眩い光に飲み込まれ、辺りは何もない闇だけが残った。
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