再びの夢2年目編2

□34話
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雅人「……」


ザッザッザッ…


雅人はいつも通りの落ち着きを見せながらマウンドの地面を踏み直す。

見た感じは普段通り、だが内心では闘志が昂ぶっている。

何しろ自分の悲願の達成が既に目の前まで来ているのだ…昂らないはずが無い。


雅人「(とはいえ、まだ早い。“アレ”は奥の手だ。今使うと恐らく僕の身が保てない。体力的にこの一巡から使うのは厳しい…切り札ではあるんだが扱いが難しいんだよなコレは)」


「ようやくエースの登場か。とはいえこのまま勝てると思うなよ」


雅人「流石にそんな甘い考えはしてませんよ。ただ、そちらもそれは同じですからね」


「けっ、後輩の癖に生意気な」


お互い弱味を見せず、強気な物言いで軽く話した後、雅人は身構える。

雅人にしては珍しく少し感情的になっている様だが、別に悪い意味では無い、むしろ普段よりやる気なのでいい傾向とも言える。


速水「(兄弟対決を白けさせない様しっかりリードしないとね…なら公開情報は少ないに限る)」


速水「彼は変化球が冴えてるんですよね〜。やっぱり変化球指示が安定ですよね〜。勿論嘘じゃないですよ〜」


速水はお気楽ムードに配球のヒントを与え、揺さぶりを掛ける。

勿論このリードは嘘ではなく初球は変化球にするつもりだが、肝心な所を教えない辺り実に嫌らしいささやき戦術だ。


「(う、胡散臭さ全開だ。ハッタリかました例もあるらしいんだが逆に的中させた例もあるらしいんだよな…)」


万が一、初球が変化球であって、これを外すとまたネチネチと囁かれるのは目に見えているので、あえて変化球に狙いを絞る事にする。


ガバッ…ビシュッ!!
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