Brave

□谷風の響き
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最近、不思議な夢をみる。こののどかな村で退屈しているオレが作りだした妄想なのか、お伽話だのでよくある前世を見ているのかは定かではないが。

その内容はいつも同じだ。オレは果てしない荒野を歩いている。白い砂の砂漠だ。遙か彼方にうすぼんやりと見える光を目指し歩いている。周りには誰もいない。オレは、孤独に歩いている。
目が覚めたとき,いつも重苦しい気持ちになるからすっかり寝るのに嫌気がさしてしまった。


だけど,今日はその夢に進展があったんだ。人も登場した。夢の内容は相変わらずさっぱり理解できなかったけどな。



オレはまた砂漠を早足で歩いていた。きめ細かい白砂は,足にまとわりついて重い。焦りといらだちと不安とでさらに歩みが早くなる。
周囲の,妙に陰影のない景色も不安を扇動する。

突如,ぼんやりとした光がはっきりと見えるようになった。
光を発していたのは――――巨大な樹だった。中心から,息をしているかのように強く,弱く,交互に発光している。

さっきまで聞こえてこなかった唄も聞こえる。
懐かしいメロディ…この歌は,この柔らかく澄んだ歌声はどこから?


「この樹の中か…?」


よく見ると,唄のリズムに合わせて光は脈動している。それに,なんだか光が強くなっているような…
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