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□MARIONETTE
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むかしむかし、どこかの国に、美しいマリオネットがありました。
金糸の髪、蒼い瞳につややかな肌。
頬には薄らと紅がさし、艶やかに微笑む唇はバラ色。
おじいさんはたいそうこのマリオネットを大切にしていました。
おじいさんはお金持ちでしたが、一人ぼっちでした。
ですから、毎日汚い服を着て、町の公園で人形劇を見せていました。
オルゴールの音色が聞こえると、子供達はすぐに集まってきました。
おじいさんも喜んで人形劇を続けました。
ですが、ある日を境に子供達はこなくなってしまいました。
子供達は大人になったのです。
おじいさんはまた一人ぼっち。
たくさんの人形に囲まれて誰ともお話しすることなく大きなお屋敷で、毎日毎日すごしていました。