ラブ★コン二次創作

□寝顔
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すかーー・・・・・・


「熟睡しとる・・・」

 一緒に帰ろうと教室でオレを待っていた小泉は、待ちくたびれて眠りこけていた。
 起こそうと手を伸ばしかけて、オレはふと、ある言葉を思い出した。


『すごいキレイな顔して寝てはるから・・・』


 小堀のヤツ、以前そんなこと言うてたな・・・

 あんまり思い出したくないことやけど、そう言ってあいつ小泉にキスしてん。
 寝込み襲ってん・・・!!!!

 まあ、いまオレの目の前で、腕を枕に机で寝てる小泉は、とてもきれいとは言えん・・・けど。
 でもこいつ、いつも幸せそうな顔して寝てん。
 そういうのみてると、こっちも気持ちいいねんけどな。

 そうやな。小堀みたく、思わずキスしたくなる・・・ような?
 ・・・いやいや、ちょっと待て。
 オレはそんなことせぇへん。
 小堀とは違うねん。
 寝込み襲うようなことは・・・オレは・・・

 そう思いながら。
 オレはそっと小泉の顔を覗き込んだ。
 少しづつ、顔を近づけてみると、気持ちよさそうに寝てる小泉の吐息を感じた。

 オレはちょっとドキッとして、そのせいか机の角に体をぶつけた。
 そしてその音にビクッと体を震わせ、小泉は目を覚ました。


「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」


 互いに無言のまま数秒間。
 お互いの顔まで数センチの距離のまま。
 先に言葉を発したのは小泉だった。

「・・・何してんの・・・」
「いや。なんか・・・な?」
 どう言い訳しようかと考えつつ、オレは目の前にある小泉の顔にドキドキしていた。
 小泉は寝ぼけ眼で、状況がいまいちつかみきれてない様子だった。
「・・・なんで、大谷近くにおんの・・・?」
「・・・だ、だからな?」


 ・・・というか。
 彼女の顔がこんな間近で。
 息が触れるぐらい近くで。
 動揺するやろ。
 緊張するやろ。
 ・・・・・・何かしようと思わないヤツなんて、おらんやろ。

 だから・・・。


「いま、めっちゃキスしたいんやけど・・・」


 多分、鈍いこいつには。
 オレの顔がこんな近くにある理由、わかってないはずやから。
 さらっと、本音を言うてみた。


「へ?・・・キスて・・・あ、あかん!」
 だが、小泉は"キス"の言葉に、一気に目が覚めたようで、目を大きく見開いて、オレから慌てて離れた。
 そんな態度に、オレは軽くショックをうけた。
「なんでや」
「だ、だから、いまはあかん」
 さらには嫌がり、口を手で隠す小泉に、イラッとした。


 なんやねん、こいつ。
 おれとキスしたくないん?


「ええから」
 強い口調でそう言うと、小泉はさらに抵抗した。
「あ、あかんて!寝起きやもん、いややわ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 は??
 ・・・キスしたない理由が、寝起き?
 寝て起きたからキスいやってことか?
 なんやねん、それ。


「あ、そ」
 オレは思いっきり冷たく言うと、小泉から数メートルは離れた椅子に、背中をむけて座った。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大谷?」
 不安そうな小泉の声も、聞こえないふりをした。

「・・・大谷、もしかして怒っとるん?」
 すると、おどおどしながらも、小泉はオレの正面に周りこみ、顔をのぞきこもうと近づいてきたから。
 オレはすばやく小泉の腕をとり、引き寄せて。


 ・・・触れるだけの、軽いキスをした。


「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」


 ニヤッと笑うオレとは対照的に、小泉は不満そうに頬を膨らませた。
「・・・いやや言うてたのに」
「なにがや。お前が近づいてきたからやんけ」
 ふふんと笑いながら言うと、そんなオレを見ながら、小泉は軽く溜息をつき苦笑いをした。
「さっきお菓子食べたままやってん、そんなんで・・・いややもん」
 そう言いながら口を尖らす顔が、なんだかオレは愛しくて。
「だから軽かったやろ?」
「そういう問題ちゃうの!」
「じゃあ、どういう問題?」
 そう言ってオレは、さっきよりもずっとずっと長いキスをした。


END


(2007-8-29)
 

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