ラブ★コン二次創作・2
□素顔のままで
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※この小説の続きを、rainballさんが書いてくださいました!
めちゃくちゃ素敵小説です!未読の方は是非読んでみてください!
「素顔のままでU」
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お正月。
あたしと大谷は、羽根突きをして遊んでいた。
『女の子の遊びやろ?』
そう言って、最初はつまらなさそうにしていた大谷も、始めてみれば夢中になって。
家の前で、汗だくで羽根突きしてるあたしらを、近所の人らは微笑ましそうに見てた。
けれども。
実際は、かなりの真剣勝負で。
なぜならば。
罰ゲームがあったから。
羽根突きの罰ゲームといえば、墨汁と筆。
たまたま、弟が書きぞめするんで持っていたお習字セットを、あたしが持ち出して。
負けたほうの顔に、落書きしていった。
そして、気がつけば。
あたしも大谷も、顔が真っ黒になってしまっていた。
「てか、ありえへーーん。普通、彼女相手にここまでする?」
「負けたんやからしゃーないやん・・・てか、おまえのその顔、めっちゃやばすぎ」
「大谷かて、アホの子みたいになっとるやん!」
「オレの男前な顔が・・・あぁ・・・」
2人して墨で真っ黒な顔。
それを見ながら思いっきり笑い合った後、顔を洗い、あたしの部屋に戻る。
「あーもう、めちゃ変な顔になってたん。洗ってすっきりやわ」
「もうちょっとあのままでおったらよかったのに。絶対受けるで」
「そんなんで笑いとりたないわ」
そう言ったあたしの顔を、大谷はじっと見ていた。
「な、なによ。まだ落書き、落ちてない?」
「いや・・・それは大丈夫やねんけど」
「じゃあ何・・・?」
「おまえ・・・なんかまゆ毛が途中できれてん」
「え・・・・あーーーー!」
あたしは慌てて両手で顔を隠し、後ろを向く。
そや!いま顔、洗ったやん!
あたし、思いっきりすっぴんやん・・・
「もーありえへん!!!そんなん見んといてよ!てか、気がつかんふりしてよ!」
「だって、気がつくやろ。普通」
「しゃーないやん!この方がまゆ毛書きやすいんやもん・・・」
「ふーん・・・そうなん?」
「そうやの!」
大谷に笑われてる様に感じて、あたしは慌てて化粧ポーチを手にとり、洗面所に駆けこもうとする。
けれども。
そんなあたしの手を、大谷がガシッと掴んだ。
「ちょっと・・・なに・・・」
「ええから。ちょっとこっち向いてみ?」
「嫌やもん!絶対笑うやん」
「笑わんから。ほら」
「絶対嫌や!手ー離してよ!」
それでも、大谷は手を離さないから。
あたしは大谷に背を見せたまま、その場にストンと座りこんだ。
「なぁ、こっち向けって」
「嫌!大谷めっちゃ性格悪すぎ・・・」
「なんでや」
「人の嫌がることしてんもん・・・」
背を向けたまま、あたしは頬を膨らませて大谷に文句を言う。
それなのに、大谷は一向に手を離す気配がない。
「てか、いつもきっちり化粧してへんやん」
「し、してるよ!女の子やもん!そりゃ・・・のぶちゃんみたく上手くはできてへんけど・・・」
「オレ、あんまし分からんかったけど・・・?」
「だってナチュラルメイクってヤツやもん。そんなにバッチリとはしてへんし・・・」
「だったら別にええやん。普段とそんな変わらへんのやろ?」
「それでも嫌やの!・・・まゆ毛書いてくるから、手ー離して・・・」
最後は懇願する様に言ってみたものの、大谷は手を離してはくれず。
それどころか、大谷の方を向こうとしないあたしの肩を、手を握っているのとは反対の手で掴む。
・・・ちょ、ちょっと。
大谷さん・・・実力行使ですか・・・。
なんで嫌や言うてんのに、顔見ようとすんねん!
普段やったら全然かまわへんけど。
いまは嫌や言うてんやん・・・
「こっち向いたら、手ー離す」
「なっ・・・」
「向かんかったら、手は離さへん」
「なによ・・・それ」
思わず振りかえりそうになったあたしの手を大谷は引っ張り。
気がつくと両手を掴まれて。
あたしは大谷に押し倒されていた。
「・・・な、なによぅ・・・」
手で顔を隠すこともできず、大谷にすっぴん顔を見られることにも耐えられなくて。
あたしは思いっきり目をつぶっていた。
そして、そんなあたしを見ながら、大谷は言った。
「素直にこっち向かんから悪いんやろ」
「だって!見られたくなかってんもん・・・」
「なんで」
「・・・・・・大谷笑うやん」
「笑ってへんやん」
「おもしろそうな顔して見てたやん」
「そんなんちゃう」
「なにがちゃうんよ」
大谷は、あたしに顔を近づける。
「おまえ、元々化粧濃くないやん。だから普段とそれほど変わらんで?」
「変わるもん!てか、あたしが嫌なんやもん!」
「でもオレ・・・」
「なに・・・よ」
「ちょっと嬉しいなー思ってんけど?」
「・・・は?」
その言葉の意味がわからず、あたしは思わず目を開きそうになる。
「よーく考えたら、おまえのすっぴん顔、ちゃんと見たことなかったし」
「そらそーやわ。見せんようにしてたもん」
「やから、見れて嬉しいなーて」
「そんなん・・・」
「それに・・・・・・化粧せーへんでも可愛・・・い・・・かなと・・・」
「・・・・・・」
ぎゅっと固く閉じたままの目を、あたしはちょっとだけ開いて大谷を見る。
大谷は照れくさそうに顔を赤くして、じっとあたしを見てるから。
「だから、目ー開けて、もっかいちゃんと見せてみ?」
「・・・・・・・・・・・うぅ・・・」
「な?」
「・・・・・・・・・・・」
「ほら・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・リサ」
・・・・・・・。
・・・・・・・ずるい。
こんな時に名前呼ぶなんて、大谷はめっちゃずるい。
しかも、なんでそんなに優しい声なん?
そんなん・・・キュン殺しされるやん・・・・
「・・・・・・・・・・絶対に、笑わん?」
「笑わんて」
その言葉を聞きながら、ゆっくり目を開くと、目の前に溢れんばかりの大谷の笑顔。
「笑ってるやん・・・」
「これはな、おもろがって笑ってるのとはちゃうねん」
「うそやん・・・おもろがってんやろ?」
「うそやないで。それが証拠に・・・」
「え?」
あたしの頬に手をそえながら、大谷の顔がどんどん近づいてくる。
「めっちゃキスしたくてたまらんねん」
「な、なに言うてんのよ・・・」
「ほんまやて」
「・・・うそやん」
「うそ・・・やない」
今年最初のキスは、すっぴんだったけど。
・・・・・・でも、まぁ。
大谷は可愛い言うてくれたから・・・いいのかな?
END
(2008-1-5)