ラブ★コン二次創作・2

□素顔のままで
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※この小説の続きを、rainballさんが書いてくださいました!
 めちゃくちゃ素敵小説です!未読の方は是非読んでみてください!
 「素顔のままでU


*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  

 お正月。
 あたしと大谷は、羽根突きをして遊んでいた。
 『女の子の遊びやろ?』
 そう言って、最初はつまらなさそうにしていた大谷も、始めてみれば夢中になって。
 家の前で、汗だくで羽根突きしてるあたしらを、近所の人らは微笑ましそうに見てた。
 けれども。
 実際は、かなりの真剣勝負で。

 なぜならば。
 罰ゲームがあったから。

 羽根突きの罰ゲームといえば、墨汁と筆。
 たまたま、弟が書きぞめするんで持っていたお習字セットを、あたしが持ち出して。
 負けたほうの顔に、落書きしていった。
 そして、気がつけば。
 あたしも大谷も、顔が真っ黒になってしまっていた。


「てか、ありえへーーん。普通、彼女相手にここまでする?」
「負けたんやからしゃーないやん・・・てか、おまえのその顔、めっちゃやばすぎ」
「大谷かて、アホの子みたいになっとるやん!」 
「オレの男前な顔が・・・あぁ・・・」
 
 2人して墨で真っ黒な顔。
 それを見ながら思いっきり笑い合った後、顔を洗い、あたしの部屋に戻る。
「あーもう、めちゃ変な顔になってたん。洗ってすっきりやわ」
「もうちょっとあのままでおったらよかったのに。絶対受けるで」
「そんなんで笑いとりたないわ」
 そう言ったあたしの顔を、大谷はじっと見ていた。


「な、なによ。まだ落書き、落ちてない?」
「いや・・・それは大丈夫やねんけど」
「じゃあ何・・・?」
「おまえ・・・なんかまゆ毛が途中できれてん」
「え・・・・あーーーー!」

 あたしは慌てて両手で顔を隠し、後ろを向く。
 そや!いま顔、洗ったやん!
 あたし、思いっきりすっぴんやん・・・


「もーありえへん!!!そんなん見んといてよ!てか、気がつかんふりしてよ!」
「だって、気がつくやろ。普通」
「しゃーないやん!この方がまゆ毛書きやすいんやもん・・・」
「ふーん・・・そうなん?」
「そうやの!」
 大谷に笑われてる様に感じて、あたしは慌てて化粧ポーチを手にとり、洗面所に駆けこもうとする。
 けれども。
 そんなあたしの手を、大谷がガシッと掴んだ。


「ちょっと・・・なに・・・」
「ええから。ちょっとこっち向いてみ?」
「嫌やもん!絶対笑うやん」
「笑わんから。ほら」
「絶対嫌や!手ー離してよ!」
 それでも、大谷は手を離さないから。
 あたしは大谷に背を見せたまま、その場にストンと座りこんだ。


「なぁ、こっち向けって」
「嫌!大谷めっちゃ性格悪すぎ・・・」
「なんでや」
「人の嫌がることしてんもん・・・」
 背を向けたまま、あたしは頬を膨らませて大谷に文句を言う。
 それなのに、大谷は一向に手を離す気配がない。


「てか、いつもきっちり化粧してへんやん」
「し、してるよ!女の子やもん!そりゃ・・・のぶちゃんみたく上手くはできてへんけど・・・」
「オレ、あんまし分からんかったけど・・・?」
「だってナチュラルメイクってヤツやもん。そんなにバッチリとはしてへんし・・・」
「だったら別にええやん。普段とそんな変わらへんのやろ?」
「それでも嫌やの!・・・まゆ毛書いてくるから、手ー離して・・・」
 最後は懇願する様に言ってみたものの、大谷は手を離してはくれず。
 それどころか、大谷の方を向こうとしないあたしの肩を、手を握っているのとは反対の手で掴む。

 ・・・ちょ、ちょっと。
 大谷さん・・・実力行使ですか・・・。
 なんで嫌や言うてんのに、顔見ようとすんねん!
 普段やったら全然かまわへんけど。
 いまは嫌や言うてんやん・・・

「こっち向いたら、手ー離す」
「なっ・・・」
「向かんかったら、手は離さへん」
「なによ・・・それ」
 思わず振りかえりそうになったあたしの手を大谷は引っ張り。
 気がつくと両手を掴まれて。
 あたしは大谷に押し倒されていた。


「・・・な、なによぅ・・・」
 手で顔を隠すこともできず、大谷にすっぴん顔を見られることにも耐えられなくて。
 あたしは思いっきり目をつぶっていた。
 そして、そんなあたしを見ながら、大谷は言った。
「素直にこっち向かんから悪いんやろ」
「だって!見られたくなかってんもん・・・」
「なんで」
「・・・・・・大谷笑うやん」
「笑ってへんやん」
「おもしろそうな顔して見てたやん」
「そんなんちゃう」
「なにがちゃうんよ」


 大谷は、あたしに顔を近づける。
 

「おまえ、元々化粧濃くないやん。だから普段とそれほど変わらんで?」
「変わるもん!てか、あたしが嫌なんやもん!」
「でもオレ・・・」
「なに・・・よ」
「ちょっと嬉しいなー思ってんけど?」
「・・・は?」
 その言葉の意味がわからず、あたしは思わず目を開きそうになる。


「よーく考えたら、おまえのすっぴん顔、ちゃんと見たことなかったし」
「そらそーやわ。見せんようにしてたもん」
「やから、見れて嬉しいなーて」
「そんなん・・・」
「それに・・・・・・化粧せーへんでも可愛・・・い・・・かなと・・・」
「・・・・・・」
 ぎゅっと固く閉じたままの目を、あたしはちょっとだけ開いて大谷を見る。
 大谷は照れくさそうに顔を赤くして、じっとあたしを見てるから。


「だから、目ー開けて、もっかいちゃんと見せてみ?」
「・・・・・・・・・・・うぅ・・・」
「な?」
「・・・・・・・・・・・」
「ほら・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・リサ」
 
 ・・・・・・・。
 ・・・・・・・ずるい。
 こんな時に名前呼ぶなんて、大谷はめっちゃずるい。
 しかも、なんでそんなに優しい声なん?
 そんなん・・・キュン殺しされるやん・・・・

「・・・・・・・・・・絶対に、笑わん?」
「笑わんて」


 その言葉を聞きながら、ゆっくり目を開くと、目の前に溢れんばかりの大谷の笑顔。


「笑ってるやん・・・」
「これはな、おもろがって笑ってるのとはちゃうねん」
「うそやん・・・おもろがってんやろ?」
「うそやないで。それが証拠に・・・」
「え?」


 あたしの頬に手をそえながら、大谷の顔がどんどん近づいてくる。


「めっちゃキスしたくてたまらんねん」
「な、なに言うてんのよ・・・」
「ほんまやて」
「・・・うそやん」
「うそ・・・やない」



 今年最初のキスは、すっぴんだったけど。
 ・・・・・・でも、まぁ。
 大谷は可愛い言うてくれたから・・・いいのかな?



END


 (2008-1-5)
 

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