ラブ★コン二次創作・2

□我侭
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「大谷は19粒。あたしは20粒」
 そう言って豆を手渡してくるリサを見ながら、大谷は少し考えて言った。
「ちゃう。たしか、数え年で豆の数って決まんねんで?」
「そうなん?」
「せやから、21粒や」


 今日は節分。
 たまたま休日と重なったせいか、大谷はリサの家に遊びにきていて。
 豆まきをした後、年の数だけ豆を食べようとしていた。


「数え年だと、あたしら同い年になるんや」
「オレも詳しくは分からんけど、満年齢だと、オレまだ19やねん」
「そうやった。大谷の誕生日が来るまで、あたしの方が年上やん〜」
「・・・せやかて、学年は同じやけどな」
「こらこら、年下の大谷くん。年上のおねーさんにむかってその口調はアカンですよ!」
「アホか。ちょっと誕生日が早いだけでエラソーに」
「ん?なんか言うた?」
「別にっ!」
 年下と言われたことがおもしろくなかったのか、大谷は不機嫌そうな声を出す。
 すると、リサは苦笑いしながら、大谷の機嫌をなだめようとする。


「で、でも、あたしって中身は子供やん!?」
「・・・・」
「大谷の方が、大人やなーってよく思うねん」
 エヘヘと笑いながらリサが言うと、大谷はリサの顔を覗きこんでくる。
「・・・どんな時に大人やなって思うん?」
 そして、興味津々の顔をして、リサに訊ねる。
 リサは間近にせまる大谷の顔にドキッとして、思わず頬を赤らめた。

「う、うーんと、例えば・・・」
 そう言って、リサは少し考え、手をポンと叩く。
「うちの親と、世間話してる時とか!」
「なんやそれ」
 あからさまにガックリした様子の大谷を見て、リサは思わず苦笑いする。
「あと・・・例えば、あたしの我侭きいてくれるとことか!」
「我侭?」
「うんっ」
 大谷は腕を組みながら、しばし考える。

「おまえ、そない我侭言うたっけ?」
「いつも言うてんやん。電話してくれんかったら嫌や〜とか」
「ああ・・・そういう・・」
 大谷はクスッと笑う。
「じゃあ、メールの返信はよせぇ、とかもやな」
「そうそう!大谷ほんまは苦手なくせして、ちゃんと返してくれるもん」
「めんどいから一言だけやけどな」
「もー!めんどいってどういうことやねん」
 リサが頬をぷーッと膨らますと、大谷はぺしっとその頬に触れながら笑った。
「アハハハ!めっちゃ膨れすぎ。すごい顔や」
「大谷のせいやん!!」
「え?おれのせいなん!?」


 しばらく楽しげに笑っていた大谷は、不意に笑い声を止めると、優しい表情のままリサを見る。
「いま言うてたの、別に我侭ちゃうよ」
「そう・・・かな?」
「電話もメールも、してほしいって言われるほうが嬉しいし」
「・・・・ほんま?」
「だって、すごい子やと毎日100通とかするらしいで?それに比べたら、おまえ足りないぐらいやん」
「あたし多くても、1日2〜3通やもんなぁ」
「やろ?」
 大谷は優しくリサの頭をポンと叩く。


「でも、アレは我侭やったよな。誕生日の時、大谷が足りん言うたのは・・・」
「え?」
「あの後、大谷めっちゃ気ーつかってんもん。あたしアカンなーて・・・思た」
 そう言いながら、リサは苦笑いし、頭をポリポリとかく。
 大谷はしばらくリサをじっと見つめた後、苦笑しながら溜息をつく。

「アホ」
「・・・アホて。急になによ」
「つーか、そういう我侭やったら、大歓迎なんや」
「そう・・・なん・・・?」
「そうや」
 そして、大谷はリサの腕をとり、抱き寄せる。
 
「おまえ、ほんまに辛い時はオレに頼ろうとせんやん」
「そ、そうやったっけ?」
「せやから、もうちっと、我侭言うて頼ってくれてもええかなー思う」
「・・・・・・・」
「ん?」
 じっと自分を見つめるリサに気づき、大谷はニッコリと笑い返す。
「・・・やっぱり、大谷は大人やな。あたしよりずっと」
 そう言うと、リサはぎゅっと大谷に抱きつく。


「いーや、そんなことはないで?」
「へ?」
 リサの髪を幾度となく撫でながら、大谷はリサの背中に腕をまわす。
「オレ年下だもんな。だから・・・」
「だか・・・ら?」
「子供みたいなことしても、年上の小泉さんは、許してくれるんやろ?」
 大谷はいたずらっ子のような目をして、ニカッと笑う。
「・・・子供みたいなこと・・・て、なによ」
「知りたい?」
「・・・えっと・・・」
 気がつけば、大谷の腕に力がこもっているような気がして。
 リサは思わずエヘヘと愛想笑いをする。
 大谷はそんなリサの唇を奪うと、そのまま2人して床に倒れこんでいったのだった。



END


 (2008-2-3)

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