ラブ★コン二次創作・2
□The cake is delicious!
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大谷とケンカした日。
怒って家に帰ったら、じーちゃんから荷物が届いてた。
それは、お取り寄せのロールケーキ。
限定モノの、めったに手に入らへん幻のケーキで。
けど、今日はうちに誰もおらんねん。
オカンとオトンは旅行やし。
隆人は部活の合宿やし。
・・・しかもこれ、賞味期限て明日までやん。
あたしはちょっと考えてから。
せっかくやし食べようと、とりあえず切り分けてみる。
・・・5人分はあるやん・・・
明日までに食べきれるんやろか・・・
そう思いながらも、ケーキを口にしてみれば。
「うーん♪・・・めっちゃ美味しい!」
さすがに幻のケーキだけあって。
めっちゃクリームが美味しい!
フルーツも甘くて、あたし好み!
これならいくらでも食べられそう!
ほんま、じーちゃんに感謝やわー!!。
うん、後で電話しとこ。
そう思いながら、あたしは2個目のケーキに手を伸ばそうとして。
なぜだか、その瞬間。
大谷の顔が浮かんだ。
「甘いもん、すきやねん」
昔から、よくそう言ってた。
・・・大谷は甘いモノが好き。
目の前にあるのは、予約をしてもなかなか手に入らない、幻のケーキ。
ひと口食べて、めっちゃ美味しいと思ったし。
たぶん、たぶんやけど。
好みが似ているあたしと大谷やから。
このケーキも、大谷は気にいるやろな。
気がつくと、あたしは携帯に手を伸ばしかけていて。
なに?
何してんあたし。
いま、どこにかけようとしてん・・・
ついさっき、くだらないことでケンカしたあたしと大谷。
ちゃうもん。
ただ、あんまりケーキが美味しかったから。
多分、大谷も気にいると思ったから。
それだけ。
深い意味なんてない。
美味しいケーキがあるから。
いっぱいあって、余ってるから。
だから・・・
携帯のディスプレイを覗けば、着信3件。
全部大谷からや。
・・・・・・・・。
ボタンを押しかけたその瞬間、海坊主の着ボイスが鳴り出す。
「・・・大谷?」
「おぅ」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・えっと・・・」
「・・・あんな?今うちにケーキ余ってん・・・やけど。食べにけーへん?」
「ケーキ?」
「めっちゃ美味しいねん。じーちゃんが送ってきてくれたん」
「マジで?・・・ほな、玄関開けてくれや」
「え?」
慌てて玄関を飛び出すと、目の前にふてくされた顔をするちっこい人。
もしかして。
ずっと、ここで待ってたん?
「おまえさー・・・ぷっ・・・」
「な、なによ、人の顔、見るなり笑うなんて!」
「いや、だって・・・」
そう言うと、大谷はあたしの口元へ手を伸ばす。
そして、口元についていたケーキのクリームを手にとると、そのままぺろっと舐めた。
「おまえはほんま子供やなぁ」
「どーせ、あたしは子供やもん!」
「てか、ケーキ食べさせてくれんやろ?」
「そや!もうめっちゃ美味しいケーキでな?絶対大谷も・・・」
確か、ケンカしてたはずやのに。
なーんか、あやふやになった気ーがすんねんけど・・・
でも、ま、いっか。
仲直りは、できたみたいやし・・・な。
END
(2008-2-19)