ラブ★コン二次創作・2

□腕枕
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この小説はrainballさんの小説「ラブ★コン 酔ったら・・・」の続き?になります。
なので、先にそちらをお読みになっていただくとわかりやすいと思います。

*   *   *   *   *

 リサが急いでシャワーを浴びて出てくると、大谷はテレビを見ていた。
「お、お待たせッ」
「・・・・・ぉぅ」
 一瞬の沈黙の後、リサと顔をあわせないまま、大谷はベッドに移動すると。
 少しふてくされた顔をしながら、でも頬を真っ赤に染めて、腰掛けたベッドの右側をポンポンと叩く。

「えへへへへへ〜」
「なんや。キモイ笑い方しおって」
「だってー」
 リサはニコニコしながら、その場所にちょこんと座ると。
 少し首を傾けて大谷を見る。

「えっと、お・・・お邪魔・・・します?」
「だぁーーーー!!なんやそれ!」
 照れくさそうなリサを一瞥すると、大谷は顔から火を吹き、頭から布団をかぶってしまった。
 ひとり残されたリサは、思案顔をしながらも、その布団を見ていると。
 もそもそっと、右手が布団から出てきて、横にまっすぐ伸びた。
(えへへへ〜♪)
 それを見たリサは再びニッコリ笑うと、布団を軽く持ち上げ、中にもぐる。
 腕枕に喜びいっぱいの表情をし、そっと大谷の胸に顔を埋めると。
 大谷は腕枕でない方の腕で、リサを優しく抱きしめた。


「なぁ、なんで急に腕枕しよーと思ったん?」
 抱きしめられたまま、リサが大谷に訊ねた。
「え・・・腕枕?」
「うん。だって、大谷こんなん苦手やろ?」
 リサの言葉に、大谷は思わず苦笑する。
「別に・・・理由はないけど」
「へぇ・・・??」
 大谷の胸に顔を埋めながら、リサはフフッと笑った。
「もしかして、中尾っちに影響された?」
(す、するどい・・・っ)
「それともお酒で酔っ払ってるから?」
(それもあるかもしれんよな・・・)
「いっつもあたしが寝るまでせーへんかっ・・・・・・・・・・・」
「・・・え?」
 不自然に言葉を止めたリサに、大谷はハッとする。
 そして。
 黙りこんだまま、大谷は起きあがると、リサもつられる様にして身体を起こした。

「・・・お、おまえ・・・知ってたん?」
「え?いや・・・し、知らんよ?腕枕なんて・・・」
 ベッドの上で、二人して向かいあって座りながら、リサは必死で言い訳を続けようとするも。
「いや、だから。ほら!・・・」
「・・・・・・・・・」
 無言のままリサをじっと睨み付ける大谷の迫力に、リサも黙り込んでしまった。



「別に・・・からかってたとか・・・ちゃうもん」
 むすっとした大谷の前で小さくなりながら、リサはポツリポツリと弁解を始めた。
 大谷は両腕を組んだまま、じっとリサをみている。
「でも、知ってたんやろ」
「・・・・・・・・知ってたいうか、なんというか・・・」
 言いにくそうな顔をしながら、リサはチラッと大谷を見る。

「・・・あたしが起きてるって知ったら、大谷・・・やめるやんか」
「は?」
「・・・起きてたら、大谷嫌がるやん・・・」
 申し訳なさそうな顔をするリサをみながら、大谷は目をぱちくりとさせた。
「・・・嫌がるて・・・なにが」
「大谷、そんなんいちゃいちゃすんの嫌やって・・・」
「はぁ?」
「だけど・・・あたしかて、たまにはそんなんしてほしい・・・からっ」
 そこまで言うと、リサは顔を真っ赤にして大谷に背中を見せた。

「てか、大谷疲れてんのに、あたしがいつまでも起きて話しかけとったら、嫌やろ?」
「・・・・」
「だから・・・早く寝てまう方がええかなって・・・思てん」
「だから・・・寝たフリしたんか?」
「ちゃ、ちゃうよ?!そんなんちゃう!!」
 リサは大谷に背を向けたまま、何度も顔を横に振り、必死で否定する。

 なーんや・・・
 同じこと、考えてるんやんけ。
 ったく・・・ほんまこいつは・・・


「なぁ。明日休みやろ?」
 怒っていたはずの大谷が、急にそれまでとは違う話題を話しかけてきて。
 しかも、その口調がかなり楽しげな口調だったから。
 リサは思わずきょとんとした顔をした。
「・・・へ?や、休みやけど・・・?」
「オレも休みやねん。ほな・・・」
「え?」
 そして、気がつけば。
 リサは背中からぎゅっと大谷に抱きしめられていた。

「お・・・おーたに・・・?」
「質問なんやけど」
 戸惑うリサを気にもせず、首筋からリサを覗きこむような体勢で大谷は話し続ける。
「腕枕して今すぐ寝んのと、もうちょっと起きてんのと、どっちがいい?」
 ニカッと笑う大谷を見ながら、リサはぽかーんとした顔をして。
「・・・・・・起きて、なにすんの?」
「ええから、どっちがいい?」
「どっちって・・・大谷、何を言うて・・・」
「オレはええねん。おまえは何したいん?」
 リサの返事を待ちながらも、大谷はその髪を撫で、首筋に唇を滑らす。
「ちょ・・・待って・・・」
 思わず大谷から逃れようとしたリサは、振り返って大谷と向きあうものの。
 大谷の真剣な眼差しに、動くこともできず、目を逸らすこともできなくなってしまった。

「・・・リサ」
 そう呟くと、大谷はリサの首筋にそっと触れる。
 手の冷たさに思わずビクッとしたリサは、ぎこちなく笑うと、静かに目を閉じた。
 大谷はそんなリサを見ながら微笑むと、幾度となく口づけを交わす。
 何度も何度も触れるだけの軽いキスを繰り返してから。
 リサの上唇を、大谷は舌先でなぞるように触れていき。
 同時に、身体を硬くしたままのリサの右手を、そっと握り締める。

 すると。
 目を閉じたままのリサの薄目が開き、大谷を見る。
 そして、大谷に握りしめられた右手を、そっと握り返す。
 大谷は、握り返された手の感触に満足げに微笑むと。
 唇を塞いでしまうような、深いキスを繰り返す。
「・・・・・・・っん・・・」
 息苦しさから、かすかに声を漏らすリサに、大谷はゾクッとしたものを感じていた。
(・・・オレ、ヤバ・・・イ)



『大谷、実習で疲れたやろ? 明日も早いんやし、はよ寝よ』



 そう言われて、傍にいるのになにもせーへんかったオレ。
 いや、こっそり腕枕して、小泉の匂いかいでたけど・・・
 そら、実習で疲れたわ。
 慣れへんことばっかで、大変やったわ。
 たしかに毎朝早かったし、はよ寝なきゃアカンかったわ。


 ・・・でもな?
 オレかて男やん。


 薄く開いた唇に舌先を差し込み、リサの舌先を絡めとると。
 無意識のうちに身体はベッドに倒れこみ、大谷はリサに覆いかぶさる形になっていた。

 ゆっくりと唇を離すと、大谷は鼻先数センチの距離で、リサをじっと見つめる。
 息苦しさからか、上気した頬をピンクに染めた顔が、より一層、リサを可愛く見せていた。
(めちゃくちゃ・・・可愛いやん・・・)
 こうして仲良くするのは初めてではないのに。
 何度も肌を重ねたことがあるのに。
 なぜだか、今日はいつも以上に可愛く見えるリサの姿に、大谷の鼓動はより早まる。

 そんな大谷の心のうちを知ってか知らずか。
 呼吸も荒く目も空ろな状態で、リサはおずおずと腕を伸ばすと、大谷の首に手をかける。
 そのリサの仕草に、大谷は必死で自分を押さえつつ、リサの顔にかかった髪をそっと払った。
「・・・ぉ・・・たに?」
「あのな」
「・・・?」
「当分・・・腕枕できひんけど、いい?」
 リサは一瞬考え込んで、その意味を理解すると照れくさそうに笑った。
 そして、首にまわした手で大谷を抱き寄せると、その耳元で囁いた。
「・・・ええよ」
 リサの甘い囁きに酔いしれながらも、大谷はニッコリと笑い。
 そのままリサの服のボタンに手をかけた・・・。




 翌朝。
 大谷が目を覚ますと、ベッドにあるはずのリサの姿が無かった。
「え・・・小泉?」
 二日酔いでガンガンする頭を押さえつつ、慌てて起きあがると、テーブルに一枚の手紙。

====================

 大谷へ

 オカンから呼び出しあったんで

 家に帰ります。

 腕枕、ありがとう(^^)

 リサ★

====================

「・・・・・・・・・・・・・」
 手紙を手にしながら、大谷は必死で昨日の記憶を辿る。
 しかし・・・

 オレ、腕枕した記憶あらへんけど・・・・
 てか、仲良ーして、そのあと普通に寝た記憶しか・・・


 それって。
 もしかして。
 もしかしなくても。
 酔っ払って寝てもーた?!


「はぁぁ・・・・・・・せっかくのチャンスやったのに・・・」
 大谷は二日酔いの頭を抱えながら、しばらくお酒は控えめにしようと思うのだった。

END


 (2008-2-24)

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