ラブ★コン シリーズモノ

□合コン おまけ
1ページ/1ページ

「なぁ、大谷君どこいったん?」
「なんや、用事できた言うて、先帰ったで」
「えーほんまに・・・?」



 その少女はそう呟くと、仲間の輪の中からそっと抜け出す。



 なーんや。
 せっかく大谷くんおるって言うから、飲み会参加したのに。



 そして、ふぅと溜息をつきながら、駅に向かってとぼとぼ歩く。



 あーあ、疲れちゃった。
 めっちゃ気合い入れてたのに、結局ほとんど話できひんかったし。
 あたしのことも、やっぱり知らんかった。
 しかも、気がつけば先帰ってるし。



 なんか喉、渇いたなぁ・・・。
 ・・・あ、あそこに自動販売機あるやん!



 販売機に近づこうと2歩進んだところで、少女の足が止まる。
 見覚えのある服。
 背の高さ、後姿。



 さっきまで隣に座っていた、その人がそこにいた。
 見たことのない誰かと、キスして。




『・・・大谷?あーあいつはアカンよ。彼女のことめっちゃ大事にしてんもん』
『そうそう、合コンとか言うても、絶対に参加せーへんし』
『彼女、めちゃくちゃ美人なんやろ?背も高くてモデルみたいやて』
『高校時代から付き合うてんやっけ?』




 もしかして。
 あれが、みんなの言うてた
 『大谷君の彼女』



 思わず角に隠れて、少女は大谷達の様子を窺う。
 何度かキスを繰り返したあと、2人は立ち上がり、手を繋いで歩きだす。



 ・・・女の方が背ー高いやん。
 やっぱり、あれ彼女やわ。
 大谷くんと並ぶと、でこぼこしてん。
 全然似合わへん。



 笑顔で話しかける大谷をこっそり見ながら、少女は右手をぐっと握り締めた。



 ・・・大谷君、あんな風に笑う人やったん?
 めっちゃ嬉しそうに笑てん。
 あんな笑顔、初めて見た。
 なんや心臓ドキドキいうてる・・・・・・。


 ・・・でも。
 彼女の方、大したことないやん。
 背ー高いだけで。
 美人ちゃう。


 ・・・なんで?
 なんで、あんな女が、大谷くんと付き合うてんの?



 二人は、少女に近づいてくる。
 けれども、大谷は少女に気づかない。
 リサだけを見て、周りを気にしていない。



 すれ違いざま、リサにだけ聞こえるような小さな声で、少女は呟く。


「・・・デカ女」
「え?」
 
 
 そして、一瞬だけリサを睨みつけると、そのまま歩き続ける。
 思わず立ち止まったリサが、後姿を見つめているのも知らずに。


 負けへん。
 絶対に負けへん。
 あんな背ー高い女、大谷君には似合わへんもん。



 少女は、口を一文字に結びながら、ただ前だけを見つめて歩き続けた。



 END
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ