ラブ★コン二次創作・3

□すきなもの
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「なぁ、このワンピース、どう??」


 リサはスカートの裾を軽く持ちあげると、大谷の前でポーズをとる。
 大谷はそれを横目でチラッと見つつ、大きなあくびをひとつ。


「・・・どうって、なにがや」
「めっちゃ可愛いと思わへん?」
「可愛いて・・・おまえ、歳はいくつや思てん」
「なっ・・・歳なんか、いま関係ないやん!」


 ぷぅっと頬を膨らませるリサをみながら、大谷はクスッと笑う。


「なんで笑ろてんのよーー!!」
「いや、別に」
「・・・なんや、ちょっとばかにされてる気ーすんねんけど!」
「そんなん言われてもなぁ・・・」
「せっかく・・・・・・・・・・」


 ブツブツ文句を言いながら、リサは大谷に背を向け、床にストンと腰を下ろす。


「このワンピ。この間、一緒に出かけた時に、買うたヤツなのに」
「・・・え?そうやったっけ?」
「全然覚えてへんのや・・・大谷・・・」
「いや・・・だって、なぁ」


 頭をかきながら、大谷は少し決まり悪そうな顔をする。


 そんなん言われても・・・。
 確かに、なんか洋服買うてたんは覚えてるけど。
 どんなん買ったかまでは・・・覚えてへんで。



「・・・こっちがええって言うから、買うたのに」
「へ?」
「大谷がこっちのが好きやって言うたから、選んだのに」
 ふてくされ気味に呟くリサに、大谷は苦笑いする。


「おまえなぁ。服ぐらい自分のセンスで選べよ。スタイリスト目指してんやろ?」
「せやかて・・・」
「おれがすきな服より、着たい服着る方が・・・」
「だって!」
 少しくちびるを突き出しながら、リサは叫ぶ。


「・・・だって、なんやねん」
「だか・・・ら」
 リサはふぅと溜息を吐くと。
 小声で呟く。
 

「・・・・・・大谷に可愛いて思ってもらえる服・・・ほしかってんもん」
「え・・・?」
「大谷のハート掴まえられるような・・・」
「・・・・・・・・」


 一瞬の沈黙。
 大谷は頭をポリポリとかきながら、顔を赤く染め。


「あほ」
「・・・・・どうせあほやもん」
「そんなんしなくても・・・しっかり掴んどるっちゅーねん」


 そう言うと、大谷はスッとリサの真横に移動し。
 リサの顔を覗きこむ。


「な、なによ・・・」
「あんな?ええこと教えたる」
「・・・・・・」
「オレのすきなんは、服よりも・・・」
「服よりも?」
「・・・・・・その中身やってこと」



 リサが、その言葉の意味を理解するまでに数秒。
 


「・・・え・・・と」



 照れくさそうに笑うリサを見ながら、大谷はそっとその手をとる。
 そして。




「おおた・・・に?」



 そうリサが呟いたのと、大谷がリサを抱き寄せたのはほぼ同時で。



「・・・あんな?」
「・・・・・」
「服は可愛いかもしれんけど、オレは・・・やっぱり中身の方がええわ」
「うん・・・」
「たまーに、パンチとか飛んでくるけど・・・」
「そ、それはっ・・・!」
  

 いい雰囲気を壊すかのような大谷の発言に、リサは少し頬を膨らませるも。
 そんなリサを抱きしめる大谷の腕の力は、とても強く。
 心臓のドキドキが増していくのを、リサは感じていた。 
 そして、そっと視線を上げれば、すぐそばにある大谷の顔。



「・・・こういう時は、目ー閉じるもんやで?」



 その言葉を聞きながら、リサは目を閉じると。
 くちびるに感じる甘い感触に、酔いしれたのだった。 



END


 (2008-6-6)

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